こんばんわ、ト―コです。
今日記録するのは、江國香織の『金米糖の降るところ』です。
■作品を読んで
アルゼンチンのブエノスアイレスで育った佐和子とミカエラの姉妹。
2人はボーイフレンドを共有する約束をずっとしていた。2人が日本に留学する。
しかしここで佐和子が姉妹のルールを破り、達哉と結婚する。一方のミカエラは妊娠し、帰国してアジェレンという女の子を産む。
それから20年。佐和子は突然達哉と離婚し、別な男と帰国する。ミカエラはこのごたごたに少しずつ巻き込まれてゆく。
あらすじを書きながらながらなんとまあ表現のしにくい話なのだろうとつくづく思う。
なんというか難しい…。そして感想も難しい。
結構読者の解釈がいろいろある気がする。
佐和子は達哉が浮気することでミカエラを裏切っている気がしていたそう。どういうわけだか謎だけど。
共有することのルールを破り続けていることなのか、奪ったことに対してなのか。
その感情を抱え続けることに耐えきれなくなった。
だからその感情を見透かすことのできる男と不倫し、帰国することにしたのだ。
このストーリーの展開がさらーっとなされるのだから、ある意味すごい。
物語の終盤で佐和子がアジェレンに言った一言。
「欲しければ奪いなさい。ミカエラもそう思っている。」
共有するって実は難しい。ましてや男の人を共有するなんて。
そんな経験をしてきた姉妹だからこそ言えるセリフなのかもしれないと同時に思う。
奪ってまで欲しいということはそれだけ愛していることの引き換えなのかなと。
それにしても、水を掴むようななかなかつかみにくい話だけど、妙に残るから不思議。
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149.『神様のボート』、254.『去年の雪』、352.『がらくた』、391.『すいかの匂い』