こんばんわ、トーコです。
今日は、三浦展の『あなたにいちばん似合う街』です。
人生を変えたいなら、住む街を変えよう あなたにいちばん似合う街
■あらすじ
突然ですが、あなたが「住みたい街」はどこですか。ひょっとしたら、今住んでいる街から引っ越ししたいなあ、と思っている人もいるかもしれません。
この作品では、一体どういった人が住みたい街を選んでいるのかもわかります。
■作品を読んで
まず先に断っておきますが、この調査のサンプルは1都3県(2021年3月現在緊急事態宣言対象地域)の1500人を対象にインターネット調査を行った結果です。
なぜ、これを先に言うかというと、調査サンプル数は精度を確保するために必要なもので、この調査結果の信ぴょう性を与えるものでもあるからです。
個人的には、20歳から49歳までの男女が対象で、5年区切りで6つの年代だと平均250人ずつじゃないと特定の年代、男女の偏りが発生すると思うのですが、案の定、25~29歳が353人、35~39歳344人、20~24歳128人と偏りが出ています。
なので、話半分くらいととらえた方がいいかもしれません。ただ、参考になるデータはあるかもわかりませんが。
考察はちょっと甘いかな、と思うことも多々あります。これは完全に個人の主観が入っているなあ、と思うこともあります。
さて、結構前置きが長くなりました。本題に行きましょう。
それにしても、キャッチコピーはすごくいいです。「人生を変えたいなら、住む街を変えよう」。それを見てトーコも手に取ってしまいました。
同時に、キャッチコピーで本って明暗を分けている部分が多々あるんだろうな、と思います。
と言っても、これまで紹介した本はどちらかというとキャッチコピーがなくても大丈夫な本を選んできたつもりなのですが。
2016年当時は、1位横浜みなとみらい、2位鎌倉、3位吉祥寺です。4位に恵比寿、代官山、中目黒がランクインしています。
ちなみに、2021年のSUUMOのランキングでは、1位横浜、2位恵比寿、3位吉祥寺です。
えーと、ほぼ変わらないです。何年たとうが、コロナの影響を受けようが。まあ、都心(特に新宿?)に近く、海や池、公園が近く、商業施設がそれなりにある街が人気のようです。
5位以下のラインナップはSUUMOのランキングとは異なっています。ここは評価手法の違いによるかもわからないので、これ以上は参考にしないでおきます。
面白いなあ、と思ったのは、年代の男女で住みたい街が変わるだけでなく、個人の事情によっても変わることですかね。
例えば、30代女でも独身の人と結婚して子供がいる人では街に求めているものがそもそも違います。
これは、男性にも言えることです。さらに、女性の場合は正社員、非正規、専業主婦でも選ぶ街は違いますし、年収でも分かれてきます。
なんというか、より収入を増やしたい人はお金持ちが多く住んでいる街に行ってみるといいかもしれませんね。一体どんな人が住んでいるのかを観察するだけでも価値があると思います。
ちなみに、男性は秋葉原が人気あるみたいですが、男性でも400万円未満の男性は住みたいと答えたそうですが、400万円以上からだと激減します。まあ、かなり強引にオタクと結び付けているので、これはかなり主観が混じっているのでは、と首をかしげたいです。
男性・600万円以上になると秋葉原は完全にトップ10にランクインしません。不思議なものです。イメージはオタクの聖地ですが、交通の便はいいように思いますが。
男性の方が年収による街選びにはっきりと差が出るようです。
女性だと、200万円以上300万円未満は表参道、恵比寿、北千住、300万円以上400万円未満だと恵比寿、横浜みなとみらい、表参道となっています。400万円以上になると、吉祥寺、恵比寿、横浜みなとみらい、二子玉川になるようです。
変わっているようですが、そんなに違いがなさそうです。
トップ3には入っていないですが、年収が上がると少しずつ人気が出てくるのが、三軒茶屋です。飲み屋が多いから人気だと著者は結論付けていますが、酒の飲めないトーコはそれだけではないはずだと思っています。下戸の存在を忘れるなかれ。
これは推測ですが、渋谷から結構近いことと、街の中で楽しめるスポットもありつつ、ちゃんと日用品が買える街だからな気がします。
さらに言えば、女性の場合は学歴によっても住みたい街選びは変わっています。おそらくですが、男性もきっと同じ傾向にある気がします。
ただ残念ながら、男性の学歴別調査結果がないのですよ。なんでないのか不思議なのですが、ページ数の兼ね合いなのかしら。男女平等じゃないわ。
とまあ、調査結果のレベル及び質については、これ以上触れないで置きます。
が、少なくとも、男女別の年収、学歴、家族構成に応じて住みたい街が変わっているのは事実だと思います。
現に住んでいれば経済格差等々見えてくるモノがたぶん違っていると思います。
住みたい街が分かるだけでなく、住んでいる街の経済状況やどんな階層が住んでいるかもデータとして得られる気がします。
まあ、年収がないだけで、現在住んでいる街と学歴ならほとんど国勢調査と変わりはないのですがね。
もう少し調査サンプルを増やしてしっかりした調査を行えば、かなりいいデータが得られる気がします。
締めは、きちんと自分の足でいろいろな街を歩き、自分の目で街の特徴を見て、自分の肌で街の雰囲気を感じたうえで住む街を選ぶことを推奨しています。
まあ、この作品はあくまで参考であって、ちゃんと確かめたうえで選択しましょうというメッセージなのかもしれませんね。
(著者よ、結論これでいいのだろうか…。)
■最後に
統計のデータの使用方法や主観が入っている部分がどこかなどを冷静に見極めるための練習にもってこいの本です。
住みたい街も結局は目安なのであって、最後は自分の目で確かめることが大事なのです。