ある読書好きの女子が綴るブック記録

このサイトは年間100冊の本を読む本の虫の女子がこれから読書をしたい人向けに役に立つ情報を提供できればなと思い、発信しているブログです。

ことば 文庫本 詩歌

【おいしい本】99.『食卓一期一会』著:長田弘

投稿日:2月 9, 2018 更新日:

こんばんわ、トーコです。

今日は、長田弘の『食卓一期一会』です。

食卓一期一会 (ハルキ文庫)

 

■あらすじ

詩人である長田弘の作品の中から、食べものの詩を集めている本。

すごくおいしそうな料理と寄り添う言葉がたくさん並んでいます。

食事がもっと楽しくなるし、大切にしたいなと思わせる本です。

 

■作品を読んで

詩を読めばおいしそうな食卓のにおいと、食卓の風景が目に浮かんできます。

ダシ、ジャム、オムレツの匂い。包丁でリズムよく切る音。

本を読みながら視覚と嗅覚、聴覚、味覚でいろいろと感じることができます。

正直、本を読んでここまで感覚を思い起こす本はないです。

初めて出会う新感覚の本です。

隠し味はなんといっても食べものから連想されることばたちです。

例えば、「言葉のダシのとりかた」という詩では、ダシのとりかたとなぞらえて言葉の抽出法を語っています。

これにもやられます。ちなみにこの詩、本の1番最初です。

ダシを取る作業って本当に時間と手間がかかります。

小学生か中学生か忘れましたが、調理実習でダシを取った記憶があります。

それっきりダシを取っていません。味噌汁を作るときはもっぱらだしの素です。

本当にだしの素様様です。

言葉も同じです。言葉を削って、意味を選んで、鍋に火をかけて余分なアクを取って、沸騰したら火を止めて、漉し撮ります。澄んだだしが言葉のだしとなりました。

この過程を経た言葉はきっときれいで澄んだ、奥行きのある言葉になっています。

本当にだしをとる過程は大変だ。それは言葉も一緒。

それから、様々な国に旅に出ることもできます。

日本だけじゃなく、フランス、イタリア、アメリカ、メキシコ。

なんだか楽しい気分になります。

最後の方になると、古今東西の文学作品から食事の場面が登場します。

ハックルベリー・フィンにセルバンデス、ミケランジェロも出てきます。

あとがきにある作者の言葉は、作者なりの食卓観が書かれています。

タイトルの食卓一期一会の意味は、ひとが一期一会をともにする場所という意味を込めているそうです。

誰かとともに食卓を囲むということは、誰とともに人生を送るかということと同意義なのだそうだ。うむ深い。

そして料理は、いまここという時間だと語っています。確かに、料理はいまここで作っています。

同じものを前回と同じように作るってある意味難しいことです。

そして、作った後はおいしく平らげます。

 

■最後に

読めばわかる、とにかく本からは食卓のにおいと風景、食事の味など五感を使って楽しめる本です。

読後は、食べることがすごく楽しく、大切ですごくいとおしいものに変わります。

すごく新しくて、大切なことに気づかせてくれる本です。

 

-ことば, 文庫本, , 詩歌,

執筆者:


関連記事

【流れる河の流れ】310.『深い河』著:遠藤周作

こんばんわ、トーコです。 今日は、遠藤周作の『深い河(デーィプ・リバー)』です。 深い河 新装版 (講談社文庫)   ■あらすじ 妻と第2の人生を送ろうとした矢先に妻を亡くした男、その妻が入 …

【不思議な話】212.「森があふれる」著:彩瀬まる

こんばんわ、トーコです。 今日は、彩瀬まるの「森があふれる」です。 森があふれる   ■あらすじ 編集者は見た。 長年担当している埜渡徹也の妻琉生が植物の種を食べて倒れ、次の日には彼女の毛穴 …

【身近な問題】431.『日本のコメ問題』著:小川真如

こんばんわ、トーコです。 今日は、小川真如の『日本のコメ問題』です。   ■あらすじ 日本の歴史上米不足に悩まされていたのが常でしたが、1967年自給自足米の自給自足が叶いました。 しかし、 …

【男と女の友情】8.『ロゴスの市」』著:乙川優三郎

こんばんわ、ト―コです。 今日は乙川優三郎の『ロゴスの市』という本です。 ロゴスの市 (徳間文庫) ■あらすじ 翻訳家の男と同時通訳の女が大学生のときに出会ったことからスタートし、様々な出来事がありな …

no image

【働き方改めよう】101.『18時に帰る』著:1 more Baby 応援団

こんばんわ、トーコです。 今日は、1 more Baby 応援団の『18時に帰る』です。 18時に帰る ―「世界一子どもが幸せな国」オランダの家族から学ぶ幸せになる働き方   ■あらすじ オ …