こんばんわ、トーコです。
ついに50冊までやってきました。
さて、今日はスティーヴン・キングの『グリーン・マイル』です。
グリーン・マイル (上) (小学館文庫) グリーン・マイル (下) (小学館文庫)
■あらすじ
ポール・エッジコムは刑務所に勤務していました。
頼りになる同僚に囲まれ平穏に過ごしていました。ただ1人、問題児のパーシー・ウェットモアを除いて。
あるとき、刑務所にジョン・コフィーという大男がやってきました。
彼の刑は死刑。2人の少女を殺害した罪を問われたためです。
だがジョン・コフィーには不思議な能力を持っていました。病気を治すことができるのです。その力は他の人間を救うことができました。
また、ミスター・ジングルスという1匹のネズミが現れます。このネズミはドラクロワという別な囚人が飼っていました。
ポール・エッジコム自身はすごく疑問に思いました。本当にジョンは2人の少女を殺したのだろうか?
やがてジョン・コフィーの処刑の日がやってきました。
■この作品について
この作品が出版された当初、6冊に分冊されていました。現在発売されているのは上・下の2巻ですが。
ちなみにトーコの読んだグリーン・マイルは6冊バージョンです。
バザーで1冊10円で売られていました。6冊なんで60円で買えました。
第1巻の冒頭で、この本の出版の形態がなぜ分冊なのかの解説から始まります。
なんせ、ディケンズの時代まで遡ってしまうのですから。
ちなみにディケンズの時代とは、著者曰く小説の続きが読みたいがために死人か出た時代のころのことです。それを現代に蘇らせたそうです。
なぜ、作者はこの形式を選んだのかというと、連載形式の方がより読者が小説に参加できるからだなのだそうです。
物語の進む方向を予想することが可能だし、何より結末を見ることが不可能だからだそうです。
以上余談でした。
■作品を読んで
この作品にはあらゆる伏線が張られています。この伏線がすべて物語のどこかでつながっているのだからすごい。
問題児パーシーもミスタージングルスも。全部つながります。なんと無駄のない伏線。
電気椅子で処刑するということを除けば、この物語はすごく温かい話です。
電気椅子に関してはすごく生々しい描写です。
職場の昼休みにこの本を読んでいたら同僚に「うわ、電気椅子の描写がすごいやつ」と言われてしまいました。
「そこかよ」、と突っ込みたかったのですが、話を聞くとどうも彼は映画を見て上記の発言につながったのです。
確かに映像で見たらもっと衝撃は強いと思います。描写だけでもかなりお腹が苦しくなりますので。
やがて真相が明らかになり、コフィーは無実の罪で処刑されることになってしまったのです。
この事実を知っているのはポールをはじめとする何人かの看守のみです。
すごくやりきれない思いがあります。誰もジョンの罪を変えることはできないし、冤罪だということもなかった。
ただ、ジョン・コフィーは2人の少女を助けることができなかった。そのことに対してひどく苦しんでいました。
とにかく苦しみから逃れたい、疲れ切っていました。だから、死刑執行を選びました。
どうしようもないです。何も悪くないのに。
物語の最後の場面で、いつまでも長く生きるポールが言う「救済と呪いは本質的には一緒」という言葉が重いです。
なんせ死がなかなか来ないのだから。
きっと、ポールはジョンに病気を治していてもらったときにもらったのでしょう。
妻が死んでも、大切な人が死んでも、自分は死なないのだから。
それはそれで辛いものです。
■最後に
この作品は様々な伏線が織り交ぜられています。それでいて無駄が全くありません。
すごく飽きさせないです。
だけど、どうにもできないことというのが重くのしかかります。
冤罪に、死に。どうしようもない苦しみというのはたくさんあります。
すごく考えさせられる本です。