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ミステリー 小説

【驚愕の真実】340.『雷神』著:道尾秀介

投稿日:1月 8, 2022 更新日:

こんばんわ、トーコです。

今日は、道尾秀介の『雷神』です。

雷神

 

■あらすじ

埼玉で料理屋を営む藤原幸人には、ある事情を抱えていた。

昭和の終わりに母が亡くなり、翌年の故郷の神社の祭りの神鳴講の時に故郷の有力者が命を落とした。その容疑者として浮上したのは父親だった。

幸人の1人娘を守るため、幸人の姉の亜沙実とともに真相の解明に向かう。

 

■作品を読んで

なかなか迫力のあるミステリーです。いやはや、こんな結末を用意するんだ、と圧倒されました。

先に言いますが、ここから先かなりネタバレが入りますので、これ以上読みたくない方は速やかにお戻りください。

まだ料理人の見習いのころの幸人は、悦子という妻を交通事故で失っています。これは、娘の夕見が4歳か5歳のころです。

それから、本格的に小料理屋を営むためと夕見を育てないといけないので、実家に戻り小料理屋を継ぎます。

さらに15年が経過します。小料理屋を営みながらも平穏に暮らしていた中で、ある電話がかかってきます。

それは、娘がしたことを隠し続けている、金を払わなければすべて話してやるという脅しの電話でした。

これによって、幸人は具合を悪くし、気分転換にどこかへ行こうといいます。その時、娘の夕見は写真を撮りたいといい、新潟県羽田上村に生きたいといいます。

夕見は不思議に思っていました。自分のルーツの場所について父親も叔母も祖父も誰も話さないのですから。一体どんな場所なのか、と。

幸人と姉の亜沙実にとって羽田上村は忌まわしい事件が起こり、家族そろって記憶を封印していました。

昭和天皇の崩御寸前のころ、神鳴講の準備のコケ汁作りに出かけた母親が謎の不審死を遂げます。

その翌年の神鳴講ではコケ汁に入っていた毒キノコによって身上持ちと呼ばれる村の有力者4人のうち2人が亡くなります。さらに同じ時に姉の亜沙実に雷が直撃し、幸人も側撃を受けます。

幸人は短時間の記憶喪失で済みましたが、亜沙実は片耳が聞こえなくなり、傷も背負うことになりました。

しばらくしてから、神鳴講の会場の雷電神社の宮司太田良容子が自殺します。その直前に幸人の父親宛てに手紙を渡していました。

そこには毒キノコを入れた犯人は父親だと書かれていたからです。しかし父は自分は無罪で、幸人もそう思っていました。

やがて、周囲から断罪するような目で見られるようになり、村で暮らしにくくなった一家は埼玉県へ移住を決めます。

そこからは家族そろって思い出さないようにしていました。

娘の夕見の写真撮影によって、亜沙実と幸人は改めて真相を知るためお祭りを調べているライターと編集者という設定で村に出かけます。

そこで、亜沙実の同級生で雷鳴神社の現在の宮司の希恵と母親が病院に運ばれたときに対応した看護師の清沢照美に話を聞くことができました。

清沢照美は、目の前の2人が本当にライターと編集者ということを信用していたようでした。

清沢は元々父親は羽田上村の人間ではないので何も知らなかったんだろうといいますが、母親は羽田上村の生まれですし、経営していた居酒屋を通して父親はコケ汁のことはよく知っていました。

幸人はこれに対してこう思います。

それを言えないのが悔しかった。悔しさの底で、つい三ヶ月前まで生きていた父が、捉えどころのない曖昧な存在へと変わり、その姿さえ奇妙に歪んでいくように感じられた。料理や商売のやり方を教えてくれたのも父だった。いま私は切実に真実を知りたかった。この村にやってきたのは、脅迫者から夕見を遠ざけるためだったが、それと同じくらい、過去のすべてを解明したいと思った。

そうじゃないと言いたいのに言えない苦しさ。ついでに信じていた父親の姿と違うものを聞かされて、父親の存在が分からなくなってしまった。

真実を知るためには過去に向き合わないといけない、ということに気がついたのでしょう。

また、雷電神社で八津川彩根という郷土史を研究している男性に出会います。

その時雷が鳴っていました。亜沙実は雷を聞いた瞬間に逃げ出します。後を追いかけた幸人は同時に電話で脅してきた男に遭遇します。

それから、雷電神社に駆け込み、雨宿りをさせてもらいます。同時に身上持ちの4人のうちの生き残っている2人がやってきます。

亜沙実は雷に加えて、身上持ちに遭遇する羽目になり、ひどく落ち着かない様子でした。身を持ち崩したため、早々と帰ることにしました。

帰り際、彩根は幸人と夕見に写真を見せられます。それは、今朝雷電神社のハタ場の奥で発見された男性の死体です。実際に2人は写真を見ていませんが。

それから、埼玉の自宅に戻ってから、幸人は夕見ともにある箱を開けます。それは父が30年前に村を出たときの荷物をまとめた箱でした。

その中には村を出るまで写真を撮るのが趣味だった父のカメラと撮った写真でした。

そこである写真を発見します。それは今まで取った構図と同じ写真が何枚か撮られていました。撮られていた日付は昭和64年11月、つまり平成元年11月25日です。それは毒キノコ事件の前日でした。

幸人はすぐに村に戻りました。ここから一気に怒涛の展開が待っています。30年越しに解決します。

ここから先の話はしません。興味を持ったらぜひ読んでください、お願いします。

ここからの展開が本当にすごいです。圧巻です。

最後に、この作品を締めくくる言葉を紹介して終わりにします。

この世には、どんな神様もいない。

最後まで読めば、この身も蓋もない言葉の意味が分かると思います。

 

■最後に

圧巻のミステリーです。最後の展開は本当に怒涛です。身も蓋もない最後に本当に焼けつくされた感があります。

善意と悪意はすぐそこにあるんだな、ということを思い知らされます。

 

-ミステリー, 小説,

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