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【女の恋】55.『女の日時計』著:田辺聖子

投稿日:5月 31, 2017 更新日:

こんばんわ、トーコです。

今日は田辺聖子の『女の日時計』です。

女の日時計 (講談社文庫)

 

■あらすじ

沙美子は裕福な酒屋の長男に嫁ぎ、姑と義理の妹の存在を除けば何もかも平和な日々であったが。

そんななか沙美子はある青年と出会い、心が揺れてしまう。

なにやら事件が起こりそう。

 

■作品を読んで

この青年は実は義理の妹の見合い相手でした。沙美子は青年とこっそり家の人間にばれずに逢瀬を重ねる中で、夫との間に感じることのできない感情があることを発見していきます。

やがて青年は「一緒にならないか」ということを提案し、沙美子の答えを待ちます。沙美子は一緒にゆくつもりでした。

ところが姑が倒れます。そのさなか家の家事全般を仕切ったのは沙美子でした。沙美子には家の中で役割があることを発見しました。

そのさなかに義理の妹が婚約者である青年と関係があるのかと沙美子に問いただします。その受け答えの最中の感情がすごいです。

告白しても誰もトクするものはなく、みんな傷つくだけなのに、何もしゃべるつもりもなかった。そして、その秘密に耐えられる自分の図太さに、自信があった。

この場面で沙美子は青年との恋が終わったことをはっきり自覚します。自分の立場がものすごくわかっていて、覚悟ができていないとこの感情は出てこないと思います。なんというかすごい。

でもこうすることも時に必要な場面がありそう…。それは恋の場面というよりは誰にも言えない大きな秘密を抱えるときとか、ってこの場面ものすごく適切…。一生抱えるのでしょうね。献身さと少しの罪悪感を伴いながら。

それからはタイトルにある通り(?)、沙美子は日時計のごとく少しずつ刻むように婚家になじんでいくのでしょう。

だから「日時計」。

著者はあとがきに「恋に奔ろうとして迷い、思いあぐねる人間の心のたたかいにも、真実と美しきを見つけるものである。私はその美しさをさがしてみたかった」と述べています。

確かに恋にはちょっといつもの日常にちょっとした色や輝きをプラスさせます。だけど沙美子はきちんと自分の感情と状況を見つめ、最後は恋をあきらめます。だけど、決して不幸そうには見えないのです。さっさと切り替えたからでしょうか。

それにしても著者の観察眼には驚きます。「女という生き物はわからない」と述べていますが、十分わかっていらっしゃいますよ、田辺さん。

 

■最後に

他にも沙美子の友人の恋、姑の過去の恋など様々な伏線があります。

みなさんいろいろな恋を抱えているのですね。

最終的には恋に破れます。

そんなことよりもちゃっちゃと気持ちを切り替えて、自分の居場所を作り、そこでうまく自分の力を発揮してしまうのも1つの選択です。

女を鋭く観察している本です。

 

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