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【都市は人類の叡智】347.『都市計画の世界史』著:日端康雄

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こんばんわ、トーコです。

今日は、日端康雄の『都市計画の世界史』です。

都市計画の世界史 (講談社現代新書)

 

■あらすじ

「自然は神が創り、都市は人間が造った」ということわざがある。

現在では都市の改築は許認可とか道路建設等による用途変更で塗り替える程度ですが、本来都市はその土地の文明や文化の影響を受け、時空を超えてほかの文明と呼応している。

そんな都市計画への関心を広げていくものとして、本書を書いたそうだ。

 

■作品を読んで

トーコの場合は、仕事の関係上資格取得のためになんか足しになるかな、という程度で読みました。

突然ですが、都市計画ってなんだと思いますか?。と、唐突にすみませんが、文字通り都市の計画です。

では、いつから起こったかというと、古代からあります。実は人類が文字を持つようになってから(下手をするとそれ以前から)都市計画はあります。

びっくりしますよね。でも、その片鱗は学校の授業でやっています。古代文明の絵や写真を見ても建造物が無秩序に建てられていなかったはずです。

本書では、古代、中世、近世、近代と都市計画の変遷を見ていきます。

古代の都市の特徴といえば、抗争の絶えない時代でもありました。そのため、いかに人々や財産を守るためでしょうか、要塞としての役割を果たせうるよう設計されています。

人類が狩猟中心の生活から、植物や家畜を育てる生活へと変わります。獲物を追いかける生活から耕す生活への移行は、人間の定住化が進みます。ここから、都市化が進みます。

このような流れから、紀元前3000年から紀元前2000年にかけて、4大文明が発生した河川流域で人類最初の都市文明が生まれました。

ここまでは、世界史とかなんとかで言われてみればやったっけな、と思う箇所かもしれません。

エジプトが最初に文明として勃興します。特徴は、持続的に継承されなかったことと、要塞がないことです。

ですが、このタイプは日本の平城京、平安京にも見られます。確かに言われてみれば、外敵防錆の要塞はなかったね。というか、必要ないしね。

それからメソポタミア文明と続きます。こちらも自然の要塞はありません。時代が進むと、宮殿や寺院がおかれ、大通りを中心に街区が形成されていました。

インダス文明で初めて計画的に都市が建設されました。計画住区、道路、下水道などの都市施設、要塞や碁盤状の市街地が広がるという都市構造をしていました。なお、この都市は10世紀まで続きました。

それから古代ギリシア、古代ローマ文明でも都市は形成されています。

なお、古代ローマの都市についてはちょっと脱線しますが、こちらもどうぞ。インフラについて語られています。

93.『すべての道はローマに通ず』著:塩野七生

ローマ帝国が滅亡すると、水の供給が縮小していたため、人口が減り都市はしぼみ、空き家や廃家が多くなってきました。

それも、ローマ人の物語で取り上げていた気がするので、良かったらどうぞ。306.『ローマ世界の終焉』著:塩野七生

中世になると、ヨーロッパ社会は混乱し、蛮族の侵入により社会が不安定になり、都市の発展どころの話ではなくなります。ヨーロッパ社会に都市が再び登場したのは、11世紀以降です。

その頃の都市は、街路と広場、空地が一体化し、徒歩移動のせいか街路は放射状に延びているが、幅員や形状は不規則でした。

こうしてみると、ヨーロッパ人って、他の文明を見下すことは出来ないのでは、と思うのですが。

ここまでが、古代から中世の都市についてざっくりと解説しました。ほかにも内容はあります。もちろん日本の都市にも言及していますよ。

このように、古代から中世の都市は、城塞に守られた中での生活共同体がありました。また、人々のコミュニティや交流のための都市施設が生まれ、発展しました。もちろん、格子状の都市構造も出来ています。

簡単に言うと、都市の原型はかなり早い段階で出来上っています。ここから一体どう発展していくのでしょうかね。

中世から近代に移行する時代は様々な有名な都市計画論が出てきます。エベネザー・ハワードの田園都市論はかなり有名で、資格試験の勉強中も出てきました。

ハワードは田園都市をこう位置づけました。

  1. 田園都市とは自己充足的な都市であること
  2. 田園都市の土地は個人に分割されず、開発にあたった当局が保有し、管理する
  3. 都市の規模に対して一定の制限が設けられている
  4. 各田園都市を結びつける都市網を形成し、地域的ネットワークを生んだこと

これによって、中世にない理想都市の実現と、工業社会への到来に伴う都市ネットワークの展開を提案したことです。個人的には、3も開発許可制度的な面から見ると、結構画期的なものな気がします。

同時に、巨大化する都市に社会の人々の人間性の回復のため、19世紀末から20世紀にコミュニティ計画を行っていました。

産業革命の進展とともに、都市構造は変わります。また、農民が仕事を求めて都市へ流入が進み、都市の急激な成長と変化をもたらします。

  • 過密、不衛生による公衆衛生の問題
  • 都市における人々の深刻な住宅不足と住宅難
  • 市街地拡張による乱開発、土地投機、スプロール

これらを踏まえて、社会的ルールが構築され始めたのを機に、先進国は産業都市問題の解決策として近代都市計画制度をつくります。同時に建築規制や開発規制、ゾーニング規制も生まれます。

トーコ的には、土地区画整理事業の大本が記載されていたので、ほーっとためになりました。仕事上よく聞くんです、区画整理事業。

第2時世界大戦後、ますます大都市に人口が集積します。それは、経済の発展の結果でもありました。

どの大都市も、同心円状の求心構造で発展してきました。東京の場合、鉄道網による交通結節点の成長により支えられています。しかし、新型コロナウイルスによって、テレワークの普及でそもそも通勤がなくなる人が多くなったら、鉄道網は維持できるのやら、という問題もある気がします。

これから先の都市のあり方も変わると思います。このまま拡張を続けるのか、分散するのか。

ヨーロッパの方は都市計画は終わっていると聞いた記憶があるのですが、そんなことはなさそうです。無秩序な乱開発を防がないとね。

日本は無秩序な開発が多い気がします。そして、いつの間にやらそこにあった建物がなくなって、新しい建物ができたり、再開発の結果前の雰囲気がなくなり、新しい街になっていたりします。

都市がないとこうしてのほほんと暮らすことができないので、当たり前っちゃ当たり前なものかもしれません。

しかし、この奥の深い、深すぎるテーマはまだまだこれからも続くと思います。そして、多くの人に今住む町がどんな景色がいいのかを考えてほしいなあ、と思ったりもします。

東京は特にそうですが、こうした市民の力で乱開発を防ぐことができるかもしれません。

 

■最後に

当たり前にある都市は、世界史から見てもすごく長い歴史があることがわかります。

また、今後の都市開発を行う上でもちょっと理解したい内容も含まれています。

実際の大学の授業をもとにまとめた作品なので、かなり読み応えがありますよ。

 

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