こんばんわ、トーコです。
今日は、秋吉貴雄の『入門 公共政策学』です。
■あらすじ
あなたは、公共政策学という学問を聞いたことがありますか。政治学や行政学、経済学を総合化した新しい学問です。
なかなか聞き慣れない学問について、ちょっと見てみましょうか。
■作品を読んで
この作品を手に取ったのは、なんとなくこの学問が気になり、この暇な時期に読んでみようじゃないかと思い、手に取りました。
とはいえ、多くの人にとって公共政策学について知っている方も多くない気がするのですが…。知っている方がいたらごめんなさい。
さて、内容を見ていきましょう。
まず、公共政策学とはこういう定義です。その前に、「公共政策」についても一緒に示します。
通勤・通学ラッシュの問題のように、個人では解決しにくく、社会で対応すべき問題が「政策問題」とされる。その政策問題の解決策が「公共政策」である。
…略。
政策問題とその解決策である公共政策とを研究対象とするのが公共政策学である。
政策問題とその解決策を研究対象とする、という部分を読んだ時にトーコはこう思いました。
この学問は学部で学ぶよりも、実際に実務を通してから再度学び直した方がより理解が深まるのではなかろうか、と。
とはいえ、大学の学部で公共政策学を学ぶことはできるそうですが、トーコはこれは実務をした人が後から学ぶ学問だな、と思いました。
かなり、著者の方で公共政策学の簡単な説明を書いてくれているのですが、実際は思っているよりも複雑です。
第1章では、「なぜ公共政策学か」というテーマで、公共政策学の概要を見ていきます。公共政策はかなり一筋縄ではいきませんので、心していきます。
公共政策では、政策問題の解決の方向性から具体的な手段までが、政策―施策―事業とされる階層構造をとっています。
ここで、「政策」が特定の課題に対応するための将来像や基本的方針、「施策」は政策で提示された将来像や基本的方針を実現するための具体的方針や対策、「事業」は施策で提示された具体的方策や対策を実現するための具体的な手段や活動のことです。
役所からの委託仕事を請けている身としては、なかなか聞き覚えのある図式な気がしてきます。
公共政策は主に政府が担います。ですが、あくまで公共政策を決定するのは、社会です。
公共政策の方向性、具体的な目的・目標の決定に際しても、検討や設定されるときには必ず「社会にとって」「望ましい」ものは何かを考えたうえで決定します。ホントかよ、と突っ込みたいことはあるのですが。
学問としての誕生は、第二次世界大戦後なので、恐らくヘアカットの歴史と同じくらいですかね。
余談ですが、ヘアカットの歴史は100年くらいで、ヴィダルサスーンさんにより劇的にヘアカットの方法に革命をもたらされたとか。と美容師さんに教わりました。
話は戻りますが、公共政策って一見すると政治学、経済学、社会学等の既存の社会科学では対応できるのではという疑問が上がります。
そもそも、公共政策って、かなり複雑なんです。
そりゃそうですが、例えば道路渋滞は、周辺道路とのネットワーク、商業施設等の開発状況、公共交通の利用状況とも関係します。これらを総合的な対応を怠ると、期待された効果をあげられないし、最悪問題を悪化させてしまいます。
さらに、政策問題は他の問題と相反する関係も持っています。例えば、経済開発と環境問題です。また、立場によって問題の見方が異なって定義されます。
最後に、政策問題は日々性質が変化してしまいます。問題を以前と同じ構造と見てしまい問題の本質を見誤ったり、過去の解決手段が使えないことがあります。
そんなわけで、公共政策って複雑なものでして、加えて現代社会科学が過度に専門分化し、他の学問分野との総合的なアプローチが困難になっています。
学問的な限界を超えるために、公共政策学が生まれ、より総合的にアプローチが図るような試みを開始します。これによって、政治過程の科学的基礎を築くことになりました。
とはいえ、日本の政策問題って、本当に科学や客観的なデータ等に基づいているのかい、というツッコミは相当数あると予想されますが、世界的にはこういう流れのようです。
公共政策学はアメリカで生まれているせいか(ラスウェルという政治学者が提唱)、まずは国防政策から入っていきます。
ここまでかなりざっくりとですが、公共政策学ができた過程です。
第2章から第6章までは、問題、設計、決定、実施、評価の流れで、実際の実施過程を見ていきます。
問題が最初というのは、問題が発見され、認知し、どうにかせねばというところにたどり着いてから、問題の構造が定義されます。
これも言われてみればそうですが、問題がなければこの流れで進むことはまずありませんし、ちゃんちゃんな話になります。
社会にとって望ましくない状態のものは改善しなければなりません。そこがスタートですからね。
最終章では、公共政策学をどのように改善するかをテーマとしています。政策決定の過程などまだまだ改善しなければならないことがたくさんあります。
ところどころでぼやいているのですが、まだまだ政策決定のプロセスで透明性がなかったり、かなりクローズドな環境で政策決定が行われていたり、近年ではこれでいいのかよとツッコミたいくらい、かなり訳の分からない過程で政策が決定されています。
だからこそ、多元的な知識をもとに政策分析を行い、政策形成と決定の戦略を構築し、政策実施のデザインとマネジメントを行っていくための知識を提供するのです。
さて、この学問は今後どのように構築されるのでしょうかね。できれば、社会がより良い方向になるように発展して欲しいのですが…。
■最後に
公共政策学という、なかなか聞いたことがない学問についてのわかりやすい入門書です。
しかし、知れば意外と生活につながっているものも多く、私たちの近いところに結びついている学問でもあります。
[…] 前々回の372.『入門 公共政策学』と同様、トーコが今知りたいと思って手に取りましたシリーズの第2弾です。はい、どうでもいい文章ですね。 […]