こんばんは、トーコです。
今日は、群ようこの「猫と海鞘(ほや)」です。
■あらすじ
タイトルになかなかのインパクトがあります。「海鞘」という字をパッと見て読める方はすごいです。
作品は、著者の日常を綴ったけっこう面白いエッセイです。
■作品を読んで
平成4年頃に連載されたエッセイだからでしょうか、今読むとすごく時代を感じます。
例えば、長いスカートを見るとスケバンが出てくるエッセイ。
そもそもスケバンって何から始まりそうで怖いですが、本当にスカートの長い不良がいたんだと突っ込みたくなります。
長いスカートが流行っていても、著者から言わせれば思い出すものはスケバンのスカートのようです。
ここ何年か長いスカートが流行っていますが、この著者は今でもスケバンを思い出すのでしょうかね。ちょっと気になる。
BSデジタル放送はすごーくわかる、うん、とうなずいてしまいました。
というのも、トーコの家でも似たようなやり取りをしたからです。ただし、著者は直接訪問ですが、トーコは電話口です。
なんで受信料を払わないといけないんだろう、というのは時代を経ても一緒なんだなと思いつつ、著者は結構正直な人なんでしょうね。
堂々とそれ言うか、と心の中で突っ込みましたが。
もちろん、最後著者はNHKのある渋谷方向に向かって謝っていましたが。
「ゆるい男」というタイトルを見て、きっと時間にルーズな男か、交友関係が広すぎる男の話かと思ってました。
が、便秘気味でふとした瞬間にトイレが近くなる男の話だったので、なんだか拍子抜けしました。
今の世の中世知がないから、こんなエッセイ書いちゃっていいのかね、と若干心配になりますが、「おまる常備してよ」的なことを発言しているのを見てけっこう爆笑しました。
犬だって普段は無気力で反応がなくても、筆者がこいつ気に食わねぇな、と思った人に対いして、偶然にも犬も気に入らなかったらしく、ワンワン吠えて追い返したり。
なんか、この時の気分ってすごく分かる、うんうんとうなずいてしまいます。
何だろう、この人間の勝手だが、犬とつながって分かり合えた瞬間の地味ーで静かな喜び。
共有できるというのがこんなにもいいものか、ということがわかります。
この著者の語り口がものすごく軽妙なおかげで、日々淡々と過ぎる日常がくすくす笑える面白いものに見えてくるんだなと思わせてくれます。
■最後に
タイトルに深い意味はないそうですが、中身のエッセイはものすごく面白いです。
日常にこんなにも笑いのネタが落ちているのかと感心します。
何の変哲もない日常ですが、軽妙で面白いものに満ちているのかと思えるエッセイです。