こんばんわ、トーコです。
■作品について
ショーペンハウアーは1788年に生まれたドイツの哲学者です。19世紀を生きました。
1850年ショーペンハウアーは書き溜めていたエッセイをまとめた「余録と補遺」を刊行します。
この中には「読書について」や「知性について」、「幸福について」、「自殺について」などが収録されています。
この本は「余録と補遺」から、「自分の頭で考える」、「著述と文体について」、「読書について」が収録されています。
■作品を読んで
19世紀の半ばに書かれた本ですが、今を生きる私たちもにも参考になることが多い本です。
いつの時代にも色褪せない教えというのは存在するのだと思い知らされます。
「自分の頭で考える」ではのっけからじっくり考えることの意義を主張します。
本を読むことよりもまずは自分の頭で考える。文献はあとから自分の知識の補強に使う。
最後には生きるということにつながっていく。
ちなみにここまで約25ページくらい。
「著述と文体について」はトーコにとって耳の痛い話です。
やはり書く前にきちんと考えて書く、ということができている人は少ないとおっしゃっております。
文章ダメダメなトーコには本当に気を付けないといけないなと思います。
もう座右の書にした方がいい気がしてきた…。
はっとした瞬間は、古典を読むときは簡単で分かりやすい解説書ではなくて原書を読むこと。
あの、本当に19世紀に書かれた本ですか?と問いたくなりました。
今の時代に書かれたといっても遜色ない。というか下手なビジネス書よりすごい。
また、以下のように述べます。
「真に簡潔な表現というのは、いつでもどこでも、言うに値することだけを語り、必要なものと余計なものを正しく区別し、だれもが考えつきそうなことをくだくだしく論じないようにすることだ。」
はい、会議、打合せ、発表のときには必ずこの言葉を思い出しましょう。
なかなかできないことですが…。
ここまで最初から数えて120ページ。
最後は「読書について」。
やはり読書をするということは自分の頭で考えるということをしなくなります。
本を読んだ後はきちんと頭の中で整理し、自分の目を用いなければなりません。
一貫している主張です。戻ってきました。
また、今売れている本ではなく、教養を培う本を読むこと。
大衆に向けて書いている本より、あらゆる国で書かれた偉大な作品つまりは古典に目を向けること、と言います。
大衆に向けて書かれた本のすべてが悪書だとはトーコは言いません。むしろかなり良い作品はあります。
さすがだなと舌を巻く作品だってちゃんと存在しています。
それでもやはり古典にも魅力があります。
古典として残る理由は作品自体が素晴らしいこと、歴史上で重要な作品と位置付けられていること、現代にも通じる教訓等があることだと思います。
最近はありがたいことに読みやすい新訳の古典が数多く出版されています。
意外と今の世の中古典にチャレンジする垣根が低くなったようです。
ここで完結。約160ページ。
残りは解説です。ショーペンハウアーの生い立ち、哲学者としての功績、後世に与えた影響が解説されています。
1冊のページ数は185ページとかなり薄い本ですが、中身はとても詰まっています。
■最後に
古典と位置付けられる作品だと思いますが、とても読みやすい本です。
読書についてが時を経ても色あせないことがすごいです。
本当に下手なビジネス書を読むよりはこの本を読んだ方がいいです。