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【現実の日本】330.『私たちはなぜこんなに貧しくなったのか』著:荻原博子

投稿日:11月 27, 2021 更新日:

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こんばんわ、トーコです。

今日は、荻原博子の『私たちはなぜこんなに貧しくなったのか』です。

私たちはなぜこんなに貧しくなったのか (文春e-book)

 

■あらすじ

すでにご存知の方も多いと思いますが、平成の30年間は昭和20年からの戦後復興で築き上げたものを一気に壊すような時代でもありました。

同時に様々なところで劣化し、信じられないようなことがまかり通っています。

令和の時代が幕を開け、いきなり新型コロナウイルスが襲い、様々な劣化と絶望的なものを感じずにはいられない時代になりました。

こんな前提のもと「平成」という時代をたどってみましょう。

 

■作品を読んで

著者はテレビでもおなじみの人です。で、かなりの預金信望者なので100%は信じすぎもどうなのかな、とトーコは思っていました。

この人の合言葉ではないですが「現金が1番」なので、インフレに負けないような資産も準備がいるよね、と思っている身としてはどうかなと。

そんな著者とともに平成という時代を見ていきましょう。

大きくトピックを分けるとしたら、

  1. 年金、
  2. 消費税、
  3. なぜ「シティバンク」に騙されたのか、
  4. 劣化日本を総括

です。

まず年金ですけど、多くの人が誤解していますが、今の日本は積立方式ではないですよ。賦課方式と言って現役世代が現在の高齢者を支える仕組みなのです。それだけは覚えておいた方がいいです。

なので、トーコのような独身者で子どもを持つ予定がない人は、もっと子育てをしている人達に感謝した方がいいです。順当にいけばこの子たちは、私たちを支えてくれる予定です。

中学校か高校の公民の授業で「財政投融資の廃止」をなぜか習った記憶があるのですが、高校時代毎日通過していた中学校にこう書いてありましたよ。

「この運動場と柔剣道場は郵便局の債権、年金の積立金から融資を受けました。」

おいおい、いいのかよ、と高校生ながらに思ったものです。貯金がこんなところに勝手に使われてんのかよ、と。

これが15年以上も前の話なので、この中学校はまだできてから20年は経っていないので当時はそんなことが普通にまかり通っていたのでしょうね。

田中角栄が「財政投融資」と郵便局の貯金で様々な事業を展開しました。ある意味実態なき錬金術。

しかし、今ではそんなつけが回ってきました。何してくれんだよ、おい、としか言いようがありません。

今現在、共済年金は厚生年金と統合されており、共済年金はありません。なぜかというと、破綻する前に合体しようと財務省がウルトラCを繰り出してきたからです。

さらに言うと、働く人の4割を占める非正規雇用者にも「厚生年金」を支えさせようという仕組みになってきています。

なんとですが、2022年10月から従業員100人超の企業では、週20時間以上の労働で1年以上勤務し、月に8万8000円以上稼いでいたら厚生年金に加入義務が発生します。

これは2016年から従業員500人超の会社には上記のことを行っていたのですが、適用拡大されます。100人超ならかなり該当する会社が増えると思います。

そして、2019年には「老後2000万円問題」が出てきました。100年安心なんかじゃないので、老後までに2000万円用意しましょうという政府の言うことを聞き続けた人からすればなんの詐欺なのやらという話です。

著者がびっくりしたのはここ。

2019年6月に、当時の安倍晋三首相が、国会で、こんな発言をしたのです。

「マクロ経済スライドが発動されましたから、いわば『100年安心』ということは確保されました。」

これを聞いて、びっくり仰天したのは、私だけではないでしょう。

(…中略)つまり、「100年安心」というのは、私たちの老後が「100年安心」なのではなく、年金の給付額を減らすことができるようになったので、政府が「100年安心」ということだったのです。

マクロ経済スライドとは、「公的年金」の物価上昇分を自動的にカットする著者の言葉を借りれば、「年金自動カットシステム」のことです。

おそらく、これから先物価は上昇しますから、最悪のタイミングでのマクロ経済スライド発動のはずです。はあ、ため息しか出ません。

「100年安心」なんて信じてはいないですが、これから先も信じない方がいいです。

次は、消費税です。確か、2021年も税収は増えています。おそらくですが、1番は消費税の税収が伸びているからです。

ついに消費税が今の日本の税収のトップになりました。そりゃそうですよ、モノを買うときに必ず8%か10%はとられていますからね。増えてない方がびっくり。

消費税の仕組みもかなり詳しく本書で書かれています。社会保障に充てると言いつつも、実際は国債の穴埋めにも使われてたとか、導入までのトライアルの歴史(DAIGOは小学生の時じーちゃんが消費税導入してくれたおかげで大変な目に遭ったとか、これは本書に描かれていない)など。

なかでも、2003年からの増税年表は圧巻です。とはいえ、ここ10年はほぼ毎年のように増税してますけどね。よくもまあこんなにネタがあること。森林税とか国と県がダブルで取られてるんですけど。ふざけとる。

ちなみに、2021年の国民負担率は44%だそうです。これは財務省のHPから記載しています。

原因は社会保険料が上がった結果です。また、諸外国と比較して消費所得の部分が低いのでまだまだ消費税増税に向かっていく可能性があります。

ですが、比較資料で参考にしている国のフランスもスウェーデンも高福祉国家のはずです。これだけ取られてこの中身かい、と言いたくもなります。

個人的には著者が竹中平蔵とテレビで共演した時はトリクルダウンをめちゃくちゃ信望していたのに、2016年になって「トリクルダウンはありえない」と発言した時はびっくり仰天したそうです。

というか、この作品の合間に政治家などの仰天発言への感想がちょくちょく挟まれています。なんか、これを思い出します。

324.「偉い人ほどすぐ逃げる」著:武田砂鉄

これもそう。なんだか、あっちこっちで政治家などが変な発言していることを指摘しているにもかかわらず、政治家は平気らしい。一体どんな神経をしているのやら。

「シティバンクに騙さるな」はすっ飛ばします。いかにこの時代の日本人の金融リテラシーがないこと、なくても平和だった時代なことがわかります。

今とえらい違い。トーコはこの人達の孫世代なので、いろいろと教訓を得られているからよかったけど、子供世代は裏切られたとしか言いようがないですね。子供世代なので、就職氷河期から50代くらいってところでしょうか。

最後は銀行と財務省の歴史について書かれています。

1990年代までは銀行もこんな業務内容で高給取りになれたんだ…、って思うくらいの内容でした。

そらバブル世代を銀行は大量リストラしたいわけですわ。仕事に見合った価値を出せない人に高給払う必要はありませんから。それが普通の企業なんですけど。

そして、ちょっとだけ脱線しますが、今地銀や信用金庫は貸付で利ザヤを稼いでいるわけではないそうです。なんと、運用の方が利回りがいいというすごく謎の状況になっています。

しかし、この銀行の護送団方式で徹底的に守られ、貸付の本当の意味が全く分かっていない人たちが果たしてそんなことできるのやら…、と思っていたら、モーニングスターという(投資信託のレーティングでおなじみなんですが)会社が日本全国の地銀と信用金庫のうちの半分の銀行の運用を行っているそうです。

こんなんで日本の未来って明るいんですか、と言いたくなりますが、著者はこう見立てています。

多様な価値観を持ち、インターネットの海を泳ぎまわる「デジタルネイティブ」な世代に、どん底から出発する新しい日本を託したいと思います。

まあここまで来ると、新しいことを生み出せるのは若い人なのかもしれません。イノベーションは既存の枠組みの延長からは生まれませんからね。

なんだか、いろいろとためになりました。

 

■最後に

書き忘れたのですが、この方がなぜ現金を持つことを推奨しているのかが書かれています。不況期に守るも攻めるのも現金が1番だからのようです。

日本が劣化していった様子を経済の視点から描いています。真面目な庶民が痛い目に遭い過ぎて本当に大丈夫か、と言いたくなりますが、どこかできっと変わると思わせてくれます。

 

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