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【政治の世界】318.『女たちのポリティクス』著:ブレディみかこ

投稿日:9月 9, 2021 更新日:

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こんばんわ、トーコです。

今日は、ブレディみかこの『女たちのポリティクス』です。

女たちのポリティクス 台頭する世界の女性政治家たち (幻冬舎新書)

 

■あらすじ

世界を見渡せば、近年多くの国で女性政治指導者が誕生しています。様々な信条を持ちながら、よりよい方向へ向かおうとしています。

さて、世界には一体どんな女性政治指導者がいるのでしょうかね。小説幻冬での連載を1冊にまとめています。

 

■作品を読んで

誤解を招かないように言いますが、この作品は決して女性指導家がみなさん素晴らしいことを言っているのではありません。

あくまで、著者の見識、手に入れられる情報をもとに女性政治家を描いています。なので、人によってはものすごく辛辣な評価を下されている人もいます。

それでは、いってみましょう。

まず、冒頭に女の選挙権獲得までのみちのりに触れています。

というのも、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森元会長の女性蔑視発言を海の向こう側で聞いた著者の感想はこれのようです。

「えっ」と驚いたのは元会長が83歳のご高齢だったことだ。彼が生きていた年数は、日本の国政で女性参政権が認められてからの年数より長いのだ。

おお、こういう視点になるんですな。というのも、日本で女性の参政権が認められたのは1946年の戦後初めての衆議院選挙でのこと。

著者の住むイギリスで女性の参政権が認められたのは、1918年のこと。しかも、イギリスの場合は1910年代に、女性が参政権を獲得するためにものすごい抵抗活動をしていたようです。

なんてったって、「言葉より行動を」を合言葉に、ストリートで投石や放火、自家製爆弾攻撃などの過激な活動を行っていたそうで、一部の政治家に「テロリスト」と呼ばれていたのだとか。

この体を張った闘いの最たるものが、1913年にエプソム・ダービーで国王の競走馬の前に飛び出して、命を落とした女性がいます。

女性の名は、エミリー・ワイルディング・デイヴィソン。ちなみに、イギリスの中学校では、歴史とシティズンシップ・エデュケーションという2つの科目で出てくるのだとか。

現代に生きる身としては、ドンびくほどの凄まじい戦いをして手に入れた権利です。これを使わないわけにはいきません。

だからでしょうか、イギリスの中学校でシティズンシップが科目になっているのは。って、日本も一応公民はあるけど。

それから、約100年(日本は違いますが)経過。各国に女性政治指導者が続々と誕生しています。

イギリス、ドイツ、ニュージーランド、フィンランド、フランス、ついにアメリカも先の大統領選挙の結果、女性副大統領が誕生しています。

あとがきで著者はこう述べています。結構長い引用になります。

個人的には米国に女性大統領が誕生すれば、日本も大きく変わるのではないかという気がする。トランプの選挙での敗北を認めない人々が日本の街頭でデモをしているらしいと話したら、英国の友人に「どうして?日本って今でも米国の植民地なの?」と素朴な質問をされたのだが、やはり米国の日本に対する影響は強大だ。欧州の比ではない。米国に女性の、そして白人でない大統領が誕生すれば、それによって日本の政治や社会も変わらざるを得ないのではないか(おっさん首脳同士のホモソーシャルなつきあいで何とかする、とかではもう通用しなくなるし)。

そういう意味では、初の女性大統領が米国に誕生するのかどうかは、日本にとって特に重大な意味を持つだろう。

著者は、「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」という作品の著者として一躍時の人になった方です。

トーコはまだ読んでいないですが、なんでこの本かなり受けたんだろう、と思ってます。

冷静に考えると、多様性がほぼない日本で、実は結構多くの国の学校が様々なバックグラウンドを持つ人の集まりの世界があることをきっと明確に示したんだと思います。日本がある意味珍しいんですけどね。

それを読んで多くの人が考えたんだろうと思います。ゆくゆくは日本もそうなると思います。周りを見渡せば様々なバックグラウンドがミックスされた人々がいる世の中になっているんだと思います。

この外から見る日本というのが、ある意味トーコとしては発見です。おそらく「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」もそんな視点から書かれているんだと思います。読んでみようかしら。

話をあとがきに戻します。アメリカ大統領が女性+白人以外が誕生すれば日本も変わるというのは、個人の私見とはいえ、あながち間違いではない気がします。

アメリカが変われば日本も連動して変わる気がします。というか、日本人が自発的に変わったのって、おそらく明治維新だけだった気がします。

女性の参政権も戦後GHQによる部分が大きかったはずです。詳しい方教えてください。

強い外的要因があれば変わる気がします。その頃には、今よりも安いニッポンがありそうだ…。

それにしても、世界には素晴らしい女性リーダーがいるもんです。

ドイツのメルケルさんは、すごく日本的な感じで出世しています。でも、最大の支援者だったコールさんを切り捨てるときの変わり身は、日本の緑の摩天楼に住む女性のよう。

でも、このメルケル像を伝えたのがコロナ前なので、次期首相にならないことが決まり、いささか総括感漂う内容です。

しかし、メルケルさん、物理学者というバックグラウンドを見事に生かした科学的かつわかりやすく演説は世界中の人々の心をとらえました。

トーコもYouTubeでクリスマスのStayhome呼びかけ演説を見ましたが、日本にもこんなリーダーほしいわ、マジで、と思いました。

ニュージーランドのアーダーン首相も見事なコロナ対策を行っています。当然ですが、どちらの国の首相も支持率70~80%とお見事なレベルです。

誤解しないでほしいのだが、決して女性だからコロナ対策に成功しているのではないです。男性でも成功している国はあるのですから。

この状況をイギリスのガーディアン紙に掲載されたニューヨーク大学の教授が分析しています。

「比較的、政府への支持と信頼があり、女性と男性の硬直した区別をしない政治文化」を持つ国が女性の指導者を選ぶという。逆に言えば、人々が政府を信頼せず、積極的に支持もしない政治文化を持つ国では、女性と男性の硬直した区別がいつまでも存在するので、女性の指導者は出にくいということになるのではないだろうか。

確かに、政府への支持と信頼がある政治的文化のある国であれば、女性リーダーは自信を持って自分が信じる道を決断することができるだろう。しかし、そうでない国なら、「どうすれば支持率を下げないか」などのネガティブな計算が先に働いてしまい、ウイルス感染拡大阻止という本来の目的とは合わない決断をくだすことになってしまう。

なるほどね、と納得するしかないと思います。これは完全に日本は後者のそうでない国側の分析に当てはまることでしょう。

人々は今政府を全く信用していないし、女性と男性の硬直した区別はいつまでも残っています。おそらく、ざっと数えて4,50年。

しかも、誰がどう考えてもコロナを封じ込めれば支持率は爆上がりのはずなのに、なぜかオリンピック開催にこだわるし、給付金配らないし、対策ほとんどしないし。謎…。

おそらく、支持率キープの方法をはきちがえたのでしょう。笑い話のレベルですが。

そもそも、女性の政治家自体が珍しい中、選挙でえらばれ、トップになっています。ということは、政治家としての能力がもともと高いのです。

はい、もういいでしょうね。この話。

 

■最後に

政治という男性社会の最たるものの中に女性が少しずつですが、戦っています。女性リーダーたちがどのようにして闘い、上り詰めていったのか。

イギリスから見た女性リーダーと視点・分析は非常に面白いです。なんだか、身につまされる話が多いです。

 

 

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