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【恐ろしい未来の書】333.『変貌する未来 世界企業14社の次期戦略』編著:クーリエ・ジャポン

投稿日:12月 11, 2021 更新日:

こんばんわ、トーコです。

今日は、クーリエ・ジャポン編の『変貌する未来 世界企業14社の次期戦略』です。

変貌する未来 世界企業14社の次期戦略 新しい世界 (講談社現代新書)

 

■あらすじ

新型コロナウイルスのパンデミックは世界企業に一体何をもたらしたのか。この作品は、世界企業について海外の優れた記事を厳選し、まとめた作品となっています。

世界企業のCEOたちは何を考え、どんなビジョンを語ったのか。未来を動かす世界企業の戦略を見ることで、コロナ後の世界がきっと見えてくるはずです。

 

■作品を読んで

この作品は、今年No.1でのけぞった本です。読み始めがちょうど電車の中で読んでいたのですが、「はいー?」と思わず静かに口にしてた気がします。

だって、フェイスブック(社名は変わりました)のCEOマーク・ザッカーバーグがこうのたまうんですよ。

「ミラーニューロン」っていうのがあって、それはいま起きていることに関心を寄せながら、周囲の人々に感情移入しようとするものです。

でも、そういう役割を果たすテクノロジーはまだありません。テクノロジーはあくまでもスマートフォン中心で、基本的にそのスマートフォンに入るアプリや機能のために設計されています。僕が改善したいのは、まさにそこなんです。

概念と次元が違い過ぎてわけわからん、という気分になります。この人5次元の世界で生きとるわ…。

どこからそんな発想が出てくるのでしょうか…。日本人でこんなことのたまう人いるのでしょうか、と本気で心配になるレベルです。

それくらい日本人は今世界で戦うことができなくなっている気がします。あー、先が思いやられるし、先がなさそうやわ…。

さらに言うと、旧フェイスブック社は脳の信号を読み取るリストバンドを作る会社も買収しています。何のためかと言えば、おそらく人間がもっとスムーズに表現できるプラットフォームを作ろうとしています。

なんだそりゃ。もはやため息しか出てきません。二の句が継げぬというのはこういうことなんだと思います。

巨大テック企業はあまりにも権力を持ちすぎているという批判があります。が、どの企業も多くの問題に対して責任を持たなければならないという自覚がちゃんと持っています。

実はそれってすごいことだな、と思います。なぜって、日本の企業はちゃんとやっているように見えるのかと言えば、おそらくそう思わない人が多いと思います。

が、巨大企業自らが自分たちの生み出したもので新たな問題を生んでいることから目をそらさずに、むしろ率先して責任を果たすことで社会を変えることだけでなく、企業の長期的な利益につながることも自覚しています。

ますます日本人って取り残されるな、と思います。

それはグーグルも一緒です。グーグルもあまりにも大きくなり過ぎましたので、テクノロジーの責任提供者としての自覚を持ちながらも、グーグルだけで責任を果たせなくなった時の備えも着々と進めているようです。

なんか、ノブレス・オマージュではないですが、まわりまわって持てる者の責任をきちんと果たしている気がします。少なくとも、日本の政治家よりはしっかりしています。

この作品は、いい意味でカルチャーショックという名の爆弾を投下し続けます。日本っていつから(いや昔から)こんなイノベーションを起こすことができない国になったのでしょう。これじゃあ、衰退する一方でっせ。

例えば、ネットフリックス。言わずもがなの企業でしょう。

ネットフリックスの採用は、トップクラスに最高の報酬を支払っています。逸材ばかりの職場で、凡人はいりません。ある意味、「自由と責任」が非常に成立しそうな職場です。

しかし、それを維持するというのは、大変なことです。必ず勝つチームでありたいそうですので、本当に凡人はいりません。

さらに、それを維持しないとパフォーマンスが悪ければ解雇が待っています。年に1回の360度評価により評価が決まります。そこでそれなりのレベルをキープしないといけないのです。

ここまで厳しくて、逆にみなついていけるのでしょうか、と心配になります。

あとは、初めて知る会社もあります。例えば、ビオンテック。

ここは、ドイツで設立されたバイオテクノロジー企業です。がんやインフルエンザなどの感染症ワクチンを開発し、2020年には新型コロナウイルスのワクチンをファイザー社とともに開発したという、われわれは足を向けて眠れない会社のNo.1かもしれません。

創業者はサヒンとトゥレシというがんの専門家として有名な夫婦です。2人にとってこの会社は、「科学が病院のベッドまでなかなか届かないから」という目的達成のために創業しています。企業のポイントは、実現したい確固たるビジョンなのでしょうね。

今回の新型コロナウイルスのワクチンは、mRNAというタイプを使用しています。おそらく日本で新型コロナウイルスワクチンを打った8割がたの方は基本このタイプです。

mRNAワクチンを製造することは簡単ではありません。アスピリンや風邪薬を製造してる会社が突然のライン変更で製造できるかと言ったら、できる代物ではありません。

そのため、ビオンテック社では生産能力の拡大を含めたサプライチェーンの構築に努めてきたからこそ、迅速にワクチン供給が進んだのだと思います。新型コロナウイルスが広まってすぐにmRNAでワクチンを作れないかと当たりをつけていたのでしょうね。ありがたい。

ちなみに、mRNAはメッセンジャーとして、細胞の遺伝情報からタンパク質工場へ運ぶ役割を果たしているそうです。なので、理論的にはmRNAをコントロールすれば、免疫系に腫瘍を攻撃させたり、特定のウイルスへの抗体を作るように命じたりすることが可能になるのだとか。

今回の新型コロナウイルスワクチンによって、mRNAの有効性が証明されました。

mRNAはがんの治療法を根本的に変える可能性があります。現に、2023年から2024年にかけて重要な臨床試験が待っているそうです。

このビオンテック創業者夫婦は、科学者でもあり、企業を率いるプリンシパルを重んじ、大学で実験腫瘍学を教えています。これは後進の育成も必要だからです。

スゲーな、話の規模があまりにも違い過ぎる…。絶句するしかないです。

最後にですが、ワクチンは変異株の情報を更新するだけで修正が終わるようです。期間はなんと6週間。根本的に別なものを作るわけではないようです。スゲー。

 

■最後に

世界のBIG企業のトップが考えていることを取材した記事を翻訳し、まとめた作品です。

考えている概念やレベルが違い過ぎて、日本人大丈夫?って心配になります。

今後の社会では本書に出てくるような製品やサービスが出現する可能性がありまます。そんな未来予測の作品です。

 

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