こんにちは、トーコです。
■あらすじ
ある日貧しい絵かきのもとに月が話しかけてくれました。月はそれから毎晩現れては、その日見たことを語ってくれました。
世界中のあらゆる場所でみたことを。
■作品を読んで
この物語のもとはアンデルセンの体験が主になっているそうです。
でも童話作家のアンデルセンだけあって、読み終わるとすごく優しい気持ちになります。
見知らむ街で成功を夢見る孤独な絵かきの心もきっと癒してくれたと思います。
月が語る物語は、とても短く、舞台は世界中多岐にわたっているので、人々の暮らしを映し出していました。
なんというか、短い話なのに情景がありありと思い浮かべられます。
優しさしさが詰まった話もありますし、ちょっと寂しい気持ちにさせる話、記念の日、大切な人が帰ってきた話もあります。
色とりどりの話を月がやってきては話すのですから、さぞかし楽しそう…。
生きるのが絶対楽しいし、また月が来ないかな、とか柄にもなく思うでしょう。本当にこんな面白い月が実際にいてくれたらなあ…。
きっとトーコのしがない会社員生活に活力を与えてくれることでしょう。
著者のアンデルセンは19世紀を生きた人です。有名な作品はやっぱり「人魚姫」でしょう。
アンデルセン自身は、一生の間に幾度も旅に出ています。ヨーロッパ中を回っています。
おそらく当時は今よりも旅は全然安全なものではないはずですので、非常に珍しいことです。
でも、この旅の経験は「絵のない絵本」に色濃く反映されています。月が語る物語の基は、著者の旅の経験や伝聞に基づくものです。
また、アンデルセンは「絵のない絵本」の出版と前後して、童話作家として歩み始めます。
その萌芽なのでしょうか、月が語る物語の中には子供を主人公とした物語もあります。
風景も多彩ですが、登場人物も老若男女問わないと毎日月がやってきて話すというシュチュエーションを考えるとなかなか飽きさせない工夫ががちりばめられています。
また、とてもユーモアにあふれ、読む人を温かい気持ちにさせます。
■最後に
1つ1つの物語はすごく短いです。ただ、この中には情景や人々の様子が明るいユーモアとともに詰まっています。
読書をなかなかなさらない方にもすごく読みやすいと思います。
明るく、優しい気持ちになりたいときにオススメです。