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【奇跡の対談】270『なみだふるはな』著:石牟礼道子 藤原新也

投稿日:12月 20, 2020 更新日:

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こんばんわ、トーコです。

今回は、石牟礼道子と藤原新也の『なみだふるはな』です。

なみだふるはな (河出文庫)

 

■あらすじ

1950年代に4大公害の一つとして、企業による災害から立ち直ってきた水俣。2011年に原発事故から多くの人が避難を余儀なくされた福島。

歴史は繰り返す。そこから私たちは何を学ぶのか。水俣の生き証人である石牟礼道子とともに考えていく。

 

■作品を読んで

石牟礼道子といえば、この本です。よかったらどうぞ。201.「椿の海の記」。この作品は、水俣が公害にやられる前のとても豊饒な世界を描いています。

この作品が出たことを知った時、すごく奇跡のようなタイミングで出てきたなあ、と思いました。

2020年3月はまず世の中が非常に不安定な中です。ここから、まさか外出がままならず引きこもる生活になるなんて予想もしなかったころ。

3月は震災が起こった月。その時に水俣と福島について書かれた作品が出てきた。

2つ目が、石牟礼道子さんが震災の直後に福島について思いを馳せていた記録があったことです。

公害と原発は、人間が作り出したものによる人的な被害を受けた出来事として非常に似通っています。

石牟礼道子が一体何を思っていたのか、気になっていました。2018年に亡くなっているので、記録が出てこない限りもう誰にも分りません。

ですが、記録があったのです。これで私たちは知ることができます。一体水俣の証人が何を思ったのか。

本のありがたみをかみしめることができます。

この対談は、2011年6月に行われたものです。震災からわずか3か月後です。

まずは猫の話から始まります。水俣病の最初期は猫の様子が変だ、というところから端を発します。猫からやがて人間に被害が出てきます。

驚いたのは、水俣病は一体何人の人間が罹患しているかという正確なデータはないそうです。しかも、対談当時も若い人たちに発症が見られています。なんと20人もいるのです。

4代にわたって発症している家族もいます。水俣病は終わっていません。それだけ1世代の水銀の蓄積は後世にも受け継がれてしまうのです。

石牟礼さんは、水俣病の基礎のところからデータを蓄積していれば、福島の原発事故の時にもこのやり方でやればいいなどの応用が利いたのではないかと述べています。

話は福島に戻ります。藤原さんは対談前に福島に行き、インタビューをしたそうです。

植物はカリウムと間違えてセシウムを取り込みます。セシウムは原発事故で放射線とともに放出されていました。

その結果、葉が異常に大きくなったり、花がねじれたりと副作用が出ます。

震災の年の桜や春紅葉が例年と比べて色鮮やかだったり、タケノコが育たなかったり、ケシの花が例年に比べて大きかったり。

放射能の場合は、植物に最初の兆候が出たようです。水俣病は猫でしたが。

水俣の場合は、猫の次は魚が死に始めたことです。201.「椿の海の記」で出てきた豊饒の海ででんぐり返った魚を見て、海岸からは異臭と貝が死んでいる光景はなんともショッキングです。さらに、田んぼの水門に普段見ない魚がいたりと異常だらけです。

まあ、貨物船の船底には水銀を使用した塗料が塗られていて、カキやフジツボが付かないけど、海中に毒がまき散らされているということもこの作品を通して知りました。

原発があるところは風光明媚で、地場産業のないところです。それはチッソという会社で食べていた水俣と状況は重なります。

工場誘致は近代化に置き去りにされない唯一の方法。そう信じて誘致したと述べて、1日目が終わります。

2日目は、まず水俣の豊饒な世界だったころの話からスタートします。本当に201.「椿の海の記」で出てくる世界です。しつこくてすみません。

本当にこういう話を読み聞すると日本にはこんな素敵な場所があったんだなあ、と感じずにはいられないです。

そこからチッソによる水俣の歴史が原発の歴史にラップする構造が改めて分かります。そして、公害も原発事故も構図は一緒。

ですが、ある水俣病患者はこういったそうです。

道子さん、私は全部許すことにしました。…略

病まん人の分まで、わたし共が、うち背負うてゆく。全部背負うてゆく。

知らんちゅうことがいちばんの罪ばい。人を憎めば憎んだ分だけ苦しかもんなあ。許す思うたら気の軽うなった。

凄いセリフです。当事者がこの境地に達するってすごい。何も言えません。

ただ、一方で藤原さんはこれだけでは解決はしないといいます。当然ですよね。

原発事故の場合、被害者からすれば住む場所を追われ、財産もほぼ一文無しになり、差別もあったと思います。

ある町で原発を誘致するにあたって、自分たちの子孫に障害が発生しようが、いま金がタナボタ式に入ることが大事だという町長が当選するケース。

そういえば、原発事故直後の2~3年ほど夏場の電力使用量を抑えろ、という指示がトーコの父親が当時勤めていた工場に届いたようです。

ですが、原発が止まっていても電力は足りています。ここ3~4年はひっ迫しているという話は聞いてません。

本当に原発は必要なのか、ほかに地域振興策はないかを考えないといけない局面なんだと思います。

3日目は、石牟礼さんからのもてなしから始まります。素朴なものが並んでいますが、おいしそうなご飯です。

それから、石牟礼さんの体調の話になります。石牟礼さんは、ここ数年大腿骨を骨折し、パーキンソン病を患っていました。

その間に別の音楽が流れており、生きているのにあまり記憶がなかった時期があったようです。不思議すぎますけど。

大地は息をしている、コンクリートに覆われた大地で、生き物が来なくなったり、息をしなくなりました。

でも、藤原さんが福島で撮った男の子の写真を見たとき、石牟礼さんはこういいます。「ああ、いい顔。一ぺん見たら忘れない。」

石牟礼さんはチッソの医者の話をします。この人が水俣病の存在を公表します。公表までに様々な葛藤があったと思います。

それでも、医者の目はきれいな色をしていたといいます。こういった人たちの存在が世界を救います。

そこから、少しずつですが、未来への希望を見出します。

最後に、こういって幕は下ります。

いまは絶望のほうが大きいですね。でも、やっぱり夢みる生命を信じたい。折れた花に対して「死ぬな生きろ」って。

小さな祈りがやがて芽を出し、小さな花が咲く。大きく祈ると大体失敗する。小さな希望を1人1人持てば、小さな花も花畑になりますし。

小さな祈りを持ち続けることが大切なのかもしれません。

 

■最後に

このタイミングに出版し下さってありがとうございます、と心の底から感謝したいです。

歴史は形を変えて繰り返します。公害の次は原発、原発の次(まだ解決してないですが)はコロナ。

貴重な公害の生き証人が福島の事故を受けて思ったことを知ることができます。

 

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  1. […] ちなみにですが、以前にもこんな作品を紹介していますので、よかったらどうぞ。201.「椿の海の記」、270.「なみだふるはな」 […]

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