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【大事な話】314.「これからの投資の思考法」著:柴山和久

投稿日:8月 12, 2021 更新日:

こんばんわ、トーコです。

今日は、柴山和久の「これからの投資の思考法」です。

元財務官僚が5つの失敗をしてたどり着いた これからの投資の思考法

 

■あらすじ

日米の親の総資産額が10倍違うことに衝撃を受けた著者が、お金に関する様々な失敗をもとにある理念をかなえるため、ウェルスナビという起業します。

様々な失敗から学んだ投資の思考法を紹介します。

 

■作品を読んで

ひょっとしたら投資に詳しい人だと、目新しい情報はないかもしれません。ですが、わかっている人でもきっと基本に立ち返ることができます。

大多数の日本人はわかっていないですが、資産運用の基本は「長期・積立・分散」が基本です。トーコもこれを愚直に続けています。

はじめたのがちょうど10年くらい前で、少しずつですが、着実に増えています。

というか、定期預金の利息が0.002%って一体何だよ、小数第3位かい。%は100倍しているので、実際は小数第5位で計算しています。

一体どんなもんかというと、100万円預けて利息がまさかの20円という世界です。(厳密には税金とられるはずなのでさらに少なくなります)

ネット銀行とかでも利息は最高で0.2%です。それでも100万円預けても2000円です。

ここまでくると普通の人は気が付くと思います。どう頑張っても資産は増えない、と。さて、どうしましょう。

そんなときにこの本を読むといいと思います。

まず、著者の話を。この方もともとは財務省の官僚で、何がびっくりって、入省3年目には必ず海外の大学院に行かなければならないらしいんです、財務省って。

しかも、財務省からのサポートは一切ない。自分で英語の試験を受け、エッセイ書いて、推薦状を用意しなければならないそうです。

財務省って、かなり激務の職場で全員が当たり前のようにこれをしているって、どんな職場だよ、って思いました。これがトーコがこの本を読んで1番衝撃を受けたことです。

さらに言えば、この著者、日本の財務省だけでなく、イギリスの財務省でも働いていた経験がありました。イギリスの財務省で超効率よく働いた後日本に戻ればまた激務の状態に戻ります。

奥さんはアメリカ留学中に出会ったアメリカ人の方です。当然ですが、家族の時間が確保できない状態で働き詰めの霞が関の状態を理解できるはずもありません。そのため、退官することになったそうです。

おそらくですが、こういう海外で働いたことのある人の声を聴きながら霞が関の文化を変えないと優秀な人は入らないんだろうな、と思った瞬間です。

 

すんごい脱線しました。お金の話に戻ります。

著者がなぜこの考えに行きついたのか。それは、アメリカ人の妻の両親の資産の額を聞いたことから始まります。

妻の両親は若いころからプライベートバンクで運用し、総資産額は数億円だったことを知ります。金融の専門家である著者もびっくりです。

なぜ、そんな資産が築けたのか。それは、妻の両親は20年以上プライベートバンクやファイナンシャルプランナーに資産運用を任せ、株や債券などに資産を分散させ、資産のバランスを調整し、毎月追加投資をしていました。それだけです。

ここに、「長期・積立・分散」の資産運用が実現するのです。

一方著者の両親の場合、大企業勤めのサラリーマンでも何千万の退職金、年金もそれなりに受け取っていますが、日米で比較した場合10倍以上の差がついていました。著者はその事実を知り、愕然とします。

多くの人はやがてそんな状態になると思います。さて、どうすればいいのやら。

まず、考え方を変えていく必要があります。それは、「働きながら資産運用をすることが必要です」

もう時間が経っていますが、トマ・ピケティ教授の『21世紀の資本』という本で、以下の数式が紹介されています。

r>g

ここで、r=資本のリターン、g=経済成長率 です。つまりは、投資のリターンは経済成長率を上回るということです。

日本人の場合、給与と預金に頼る(つまりgのベースに頼る)ので、経済成長率を下回る確率の方が上がります。

これでは、格差は拡大する一方です。rがない人は全く太刀打ちができないということになります。

さらに言えば、日本の個人金融資産は1800兆円の約3分の2を60歳以上が保有しています。

なら、60歳以上の人にもっと課税すればいいじゃんという意見が出てくるでしょう。ですが、少子高齢化が進む国では「高齢者向けの政策」の方が当然受けがいいので、60歳以上の資産に手出しができないのです。

だから、逆に現役世代は、gの世界からrの世界に移るように仕向ける必要があるという考えに至ります。

そこから「長期・積立・分散」運用ができるよう、具体的な方法論を紹介します。

それは、何年後にいくら必要という目標金額を立て、それに見合ったポートフォリオを作り、その割合で積み立てを続けるということです。

ちなみに、プライベートバンカーの話もほんのちょっと出てきますが、基本は一緒です。少し緻密なだけで。

この章の最後は、資産運用の終わるときまで描いています。

資産運用が終わった時はきっと現役を引退しているときです。貯めた資産を少しずつ取り崩していきます。が、残りの資産はまだ運用していますので、莫大な資産を築いた人の場合は、使っているのに減ってません。すごい、と絶句するしかないです。

そして、これもかなり重要なのですが、人間の脳は資産運用に向いていない、そうです。

というのも、「人間の脳は資産運用に向いていない」という言葉は章の名前です。

この章の冒頭でなるほどな、というエピソードがあります。それは、MBA学生の3分の1が分散効果を理解できていないということです。

説明する教授ですら、「理解できない人には理解できない」と言い出す始末。金融工学の基礎を学ぶ学生ですら理解できないという事実。

そう、投資教育ですべての人に理解してもらおうというのは現実的ではないのです。なんだか、かなり矛盾しますが。

当然ですが、素人もプロも金融危機を予測するのは難しいです。そして、いざとなった時正しく行動することは金融のプロでも難しいです。

著者の奥さんの両親も、リーマンショック時に慌てたそうです。資産運用を辞めた方がいいのか、と。

そこに待ったをかけたのは、プライベートバンカーでした。彼らはこう助言します。

・過去の金融危機でも株価は大きく下落したが、やがて回復している

・今回も一時的な下落であるなら、損失も一時的なものに留まる

・株価が大きく下がっている今売ると、一時的であるはずの損失が確定してしまう

この時の行動は、追加投資をしないが、そのまま続けることを選びました。すると、どうでしょう。

リーマンショックから2年後には元の水準までに回復し、9年後には株価は元の水準の水準の2倍になりました。すげえ、辞めなくてよかった。

もし、プライベートバンカーに任せず自分で資産運用を行う方は、プライベートバンカーの助言を心に刻むべきです。判断を誤らずに済みます。

それから、テクノロジーで明るい未来が実現できることを話します。

というのも、AIに資産運用を任せて、利用者の利益を最大にするような仕組みを整えていけばいいのでは、という未来を著者は描き、実行に移します。その想いでウェルスナビを起業します。

ちなみにですが、ウェルスナビというサイトを覗きましたが、自分でポートフォリオを組めない人、管理する時間がもったいない、かつ手数料は高くないと感じた人はおすすめです。

当たり前ですが、著者が言ったことを実践しています。おそらくお金を払い続けていれば勝手にやってくれます。

すごく信頼の高いサービスです。言わずもがなですが、自分で勉強したうえで、ウェルスナビを信じようという想いになることが1番理想です。

最終章では、お金から自由になった先にあるものを述べます。

まず、自分に投資することです。これはその通りです。自分に投資した以上のチャンスや成果が得られたらこれほどまでにいいことはありません。

それから、しばらく生活できるだけの資金を持つ。著者の場合は、2年分でした。

なお、著者も述べていますが、経済的に自立することで、組織に頼らずに生きていこうと思った方がいいです。

個人的には、こう思った方が会社にいられる気がします。会社組織と個人はそもそも対等のはずです。それがいつの間にやら忘れているので。

なんというか、お金のことを知りたいときには読んだ方がいい作品でした。

 

■最後に

お金のことが知りたくなったら読んだ方がいいです。長期・積立・分散という資産運用の基本だけでなく、お金との付き合い方も学べます。

なんだか、お金のことは何かのきっかけで、繰り返し復習をした方がいいんだな、と感じました。

 

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