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【命がけの恋】309.『白蓮れんれん』著:林真理子

投稿日:7月 3, 2021 更新日:

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こんばんわ、トーコです。

今日は、林真理子の『白蓮れんれん』です。 

白蓮れんれん (集英社文庫)

 

■あらすじ

筑紫の炭鉱王伊藤伝右衛門に嫁いだ柳原燁子(のちの白蓮)は嫁ぎ先で様々な困難にぶち当たる。

やがて、歌集を出版し、1人の青年が燁子のもとを訪れる。

 

■作品を読んで

「白蓮事件」をご存知でしょうか。柳原白蓮が年下の恋人宮崎龍介と恋に落ち、駆け落ち事件を起こしたものです。

今の時代であればまあよくある話よ、くらいで片付く話なのですが、彼らが生きていた大正時代は違います。

まず、燁子(白蓮さん)は華族出身、宮崎は平民という身分差。しかも、当時の法律では華族と平民は結婚ができません。ひゃー、恐ろしか。

婚姻届を提出してから4年かけて燁子は平民になることができました。

もう1つは、姦通罪にあたる可能性があったからです。燁子は当時伊藤伝右衛門と結婚しており、今と違って女の不倫は罪に当たる時代だったのです。

そのため、注目を集めるだろうからそれを逆手に燁子にとっての結婚生活は苦しみの歴史だったことを告発するような文章を新聞に掲載することにしたそうです。

お、おいおい。そこまでしないとダメな世の中なのね…。

柳原燁子は、「花子とアン」でも出てきています。1度目の結婚ののち離婚し、家に戻っているときに東洋英和に入学し、村岡花子と知り合います。それから伊藤家に嫁入りします。嫁入り後はあらすじに記載したとおりです。

出自は柳原家という由緒ある華族で、大正天皇の従妹にあたります。本人いわく、天皇は遠い存在であるようですが。

生涯で3回の結婚をし、宮崎と結婚することでやっと安住の地を手に入れます。

一方の宮崎龍介は、宮崎滔天の息子ですが、滔天が家庭を顧みないせいか結構貧しかったようです。ちなみにですが、滔天が孫文をかくまった縁からか今でも中国からの駐日大使が着任した際は宮崎家を訪ねに行くそうです。

宮崎龍介は東大法学部の学生の時に別府の別邸で初めて燁子に会います。それは大正9年1月31日のことでした。それから2人は恋に落ちます。

なんと最初の出会いから4日後には手紙を受け取っていたのですから、まあびっくり。

それから2人は700通の恋文を送りあいます。それがすべて保存されていたのだからまあびっくり。

というのも、燁子と伊藤伝右衛門との結婚は早い段階から破綻していました。燁子と宮崎が出会った時も当然ですが、伊藤との夫婦関係は破綻しています。

燁子は、伝右衛門にそこまで子どもがおらず身辺がしっかりしているという情報や女学校の経営ができるとそそのかされて嫁いだのですが、実際は全く違いました。

伝右衛門は字が読めず(現代社会から見ればわーお)、子どもは思っていた以上におり、愛人や妾も多くいました。さらに、家は女中が仕切っており(この女中も伝右衛門の愛人)、燁子の出る幕はありませんでした。

しかも、燁子は困ったことに伝右衛門に抱かれるのが嫌すぎて、ユウという元女中の妹を妾に差し出します。

さらに期待していた女学校も伝右衛門は金を出しただけであって、経営面では何も感知していませんでした。

そんな燁子の楽しみ(⁉)は歌を詠むことです。まあ、そのおかげで宮崎と出会うことができたのですから、結果はオーライというところでしょうか。

一方で、当時の女性たちって意外と自由な面も持ち合わせています。

上流階級は特にそうですが、結婚は基本的に見合いのため相手のことをよくわからないままに結婚します。そのため、結婚後夫に内緒でうまいこと愛人というか別の恋人の男性と関係を持っていたりするケースが意外とあるようです。

というか、この物語に出てくる女の人は内緒の愛人を持っている人が多い気がしますが…。

とはいえ、実際に駆け落ちを決行したのは燁子と宮崎だけなので、駆け落ちというのは勇気のいることなのでしょう。というか、先ほども述べた通り一歩間違えれば姦通罪になってしまうのと、特に有名人はいろいろと注目を集めることもあるからでしょう。

燁子の場合は、おそらく宮崎との文のやり取りが尋常じゃない量なので、おそらく伊藤家にばれていたのだと思います。勘付くでしょう、普通。

燁子が脱走した後の伊藤家では離婚に速やかに応じました。それどころか、今後一切燁子のことを言ってはならない、とも言います。

口惜しいこともあるけど、一切悪口造言を言わないというある意味地獄(だって、ある意味では存在が消されるのですから)なことをしてくれます。

伊藤家よりも世間の方がうるさかったようです。特に燁子はかなりの有名人なのでなおのこと。

そんな中で婚家の宮崎家に身を寄せます。そこで宮崎滔天にこう言われたようです。(本当なのやら)

お前ら、いざとなったら心中でもしろ。俺が骨を拾ってやるから。

…。本当ならすごい。というか、宮崎家では普通にお嫁さんとして燁子を受け入れ、歓迎してたようです。

そして、そんな滔天についていった母槌子も龍介の実家に2人で逃げたときにこういったとか。

あんたら親の勝手で、その子どもに障りがあっちゃいけませんよ。世間をこんだけ騒がせたんなら、もう意地を通して立派に添いとげてごらん。

さすが、お嬢様育ちを捨てて滔天に嫁いだだけはある…。こりゃ龍介が駆け落ち事件を決行できるほどの根性を持ち合わせているわけだ。

いくら大正デモクラシーが吹いて多少自由な風潮があるとはいえ、不義密通は姦通罪にあたるという逆風しかない状況で見事に一緒に生きることを選び、実行した2人は相当強いです。

やがて、2人は逃亡中に生まれた男の子と女の子の2人の子宝に恵まれます。とはいえ、逃げたときにお腹にいた男の子は戦争で亡くなります。

燁子は82歳まで生きます。なんと、燁子が病に倒れてからの看病は75歳の龍介がしたのだとか。

燁子が亡くなったときも龍介はこういいます。「うちに来てからは幸せな人生でした」

3回目の結婚でちゃんとした相手に恵まれ、多くの人に囲まれた燁子は幸せだったのかもしれません。

 

■最後に

時代背景を考慮しても白蓮事件は結構センセーショナルな事件でした。ですが、それでも想いを遂げたいし、幸せになりたいという希望がみなぎっています。

燁子の輿入れは最悪でした。しかし、燁子と龍介の始まりはひょんなことでしたが、終わりはすごくハッピーエンドです。

 

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