こんばんわ、トーコです。
今日は塩野七生の「日本人へ 危機からの脱出篇」です。
■あらすじ
文藝春秋で連載されているエッセイをまとめた本です。
現在4冊発売されていて、今回紹介するのは3つ目です。
収録されているエッセイの時期は、2010年から2013年のためか書かれている出来事が結構懐かしいです。
民主党政権だったこと、3.11の未曾有の大震災、政権交代など。
そんな時期をイタリアから見つめていた著者からの言葉たちがまとめられています。
■作品を読んで
久しぶりに手に取って読みました。4,5年前に出た新書です。
最近新しいものが出ていたように思います。
なぜ手に取ったかといえば、危機を乗り切りたかったからです。
ただ、結論から申しますと、この本を読めば危機を乗り切れるかと言われたら、それはちょっと違うでしょ、とツッコミます。
けど、ヒントはいただけるかと思います。
例えば、「若者たちへ」というエッセイから。
「実力」には客観性などはないのである。「ヤレル!」と思った瞬間に、「実力」のほうも上がってくる。
自信を持つには人生という戦場では勝つしかない。
今の若者はシラケているとよく言うが、その原因を著者は負けるのではないかという恐れからきているのではと考える。
サッカーの試合を見て著者が感じたこと。
確かに、「ヤレル!いける!」と感じているときって、自分の実力以上のものが無意識のうちに出ているように思う。自分のエンジン全開なので。
その結果、周りから実力があるように思われてしまう。本当はないのに…。
ちなみにこの引用の文章の続きは、人生という戦場で戦うための初戦の相手は、できるだけ弱い相手を見つけることだそうです。
どうしても勝つ場合にはそうなります。実力以上の相手と当たって負け、絶望するくらいならその方がいいのでしょうね。
さらにこのエッセイの最後に、著者の娘時代に選んだ選択を語ってくださいます。
自分の過去もそうだった。今でこそ皆が認める歴史ものを書く方ですが、なかなかそう見てもらえない時期もあったそうです。
なんというか、自分の状況に照らし合わせると、すごく身につまされます。
それと同じくらい励まされます。それでいいんだ、と思えてくるので。
トーコがこの本で1番好きな部分です。
■最後に
他にも当時の時勢に合わせたエッセイがたくさんあります。
きっと立場が変われば、印象づけられたエッセイも変わってくるかと思います。
危機からの脱出に向け、様々な角度から書かれています。