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エッセイ 実用書

【加齢とは】390.『ひとまず上出来』著:ジェーン・スー

投稿日:5月 22, 2022 更新日:

こんばんわ、トーコです。

今日は、ジェーン・スーの『ひとまず上出来』です。

 

■あらすじ

雑誌CREAでの連載のエッセイがまとめられています。重ねる歳もあるけど、明けない夜はないはずです。

何かちょうどいいことが見つかりそうです。

 

■作品を読んで

まずは、これまでに紹介したジェーン・スー作品です。

279.『貴様いつまで女子でいるつもりだ問題』304.『私がオバさんになったよ』

もう著者のことは紹介しないでおきます。コラムニストやラジオパーソナリティとして活躍しています。

この作品を通しての感想ですが、40代後半なんて、現在30代前半の人間からするとかなり先のような話と思いがちです。が、20歳の時「30代なんてまだ先」と思っていたら、いつも間にか30代に突入しています。あっという間なんです。

しかも、40代後半は人生経験は増えているがいろいろと衰え始めていることが増えているというおまけがつきます。怖いものです。

ですが、こうして先人の教えを読めば怖くなくなるかもしれません。ある意味予習ですね。

そういえば、388.『人生で大切なことは、すべて「書店」で買える。』の中でも触れられていましたね。てか、タイトルの通り…。

まず、のっけからかなり衝撃事実をぶち込まれます。

突然ですが、大事なことなのでよく聞いてください。先達として皆さんにお伝えしたい衝撃の事実があります。四十代になると、どんなにメイクをしても、化粧が写真に写らなくなるという珍現象が起こります。マジでマジック。

まさに、センスオブワンダー。目が目が点になります。そんなことあるのか、ってかそんな日が来るのかよ。

で、スーさんはどうしたかというと、キム・カーダシアンメイクに挑戦します。

キム・カーダシアンメイク、もといいコントゥアリングとは、顔面の立体感を演出する手法です。

実際に購入したキム・カーダシアンプロデュースのメイクパレットを開封してから、メイクするまでの表現がなんとも昭和です。

メイクパレットはクレヨンのような質感に八丁味噌のようなコントゥアスティックに、舞台メイク用ですかというくらいのもののようです。

塗った時の様子は、デーモン小暮か米米CLUBって、平成生まれがギリギリわかるものがチョイスされています。

わかる人はかなり爆笑します。カフェで読んでいたので、マスクしててよかったと思います。

そのあと米米CLUBのヒットソングは「君がいるだけで」で、しかも30年前。当時のドラマ「素顔のままに」の主題歌でもありました。

30年前の著者は19歳。あの頃は、ちょっとメイクをしただけで濃くなったと騒いでいたのに…。しかも、化粧をして「素顔のままに」なるとは。

で、コントゥリアンメイクをした結果、撮影の日にモニターで確認したら、ちょうどいい。陰影をつけたおかげでメリハリが出ただけでなく、表情が生き生きとしていました。

という、のっけからのエッセイです。あー、面白い。

その次が、「地球滅亡前夜がいちばん自由」というエッセイ。

「地球滅亡前に何を食べたい?」という質問に、著者はこう答えます。「バイキング」。…、どういうことでしょう。

地球最後に食べたいものを1つ選ぶって、難しいよね、というところから来ています。まあ、確かに。

でも、大人になり回答を変えようと著者は試みます。結論の本質は一緒でした。好きなものを腹いっぱい食べれればそれでいいではないか。

そう考えているうちに、いま何のために生きているんだろうと考えます。多分未来ためです。と言いながら、こんな結論にたどり着きます。

自身を粗末に扱う生き方を自暴自棄と呼びますが、先を見越して好きなことを忌避してばかりの人生もどうなのでしょう。それはそれで、ちょっとつまらない気もする。と同時に、後先考えぬ行動で、未来の私が取り返しのつかない後悔をするもの恐ろしい。私は未来の私に対して責任がありますから。

確かに…。こんなテーマで(かなり失礼)かなり奥の深い結論にたどり着くとは思わなかった。未来の私に対して責任はありますね。

だからこそ、将来のことを考えながら今を大切に。暴飲暴食したくなるけど、つけは未来に回ってくる。あー、怖い怖い。

このエッセイの最後は、地球滅亡前の食事の話に戻ります。最後は笑わせるんだな、と思いながら。

その次は、「頑張れたっていいじゃない」。

冒頭から原因は分からないけどモヤモヤすると書いていましたが、女友達とお茶したときに判明します。

「頑張れることが、まるで卑しいことのように言われる日がくるなんて、思ってもみなかった」と言われ、これだー、と正体がわかり叫んでいます。

スーさんは頑張れることが恥ずかしいこと、という風潮にずっとモヤモヤしていました。しかも、アピールしていない人の理解者もとんと減ったように感じます。あー、いやだわ、そんな世の中。

最後に、こうアドバイスします。

あなたを支える言葉やコンテンツが、いまは溢れているから。あなたの時代だ。頑張れないことは、頑張れることと同じで特性みたいなものなのだから。

無理をしている人も少ないため、安易に「頑張れ!」とは言えない世の中です。とは言え、頑張ることが楽しいって価値観、消滅させなくてもいいと思う。

頑張れないと思ったら「頑張らない」と言い直すのはどうでしょうか。可能/不可能の話ではなく、意思の問題にしてしまえば少しは気が楽になると思います。

頑張ることが悪という風潮が蔓延しすぎている気がします。頑張らないと越えられない何かがあるにもかかわらず。

頑張れる人も頑張れない人もいる。そんなときの解決法の一助になっている気がします。

最後に、「昔の私に教えてあげたい、夢の叶え方」。

著者はコラムやエッセイを書いて、ラジオで話しているおかげで、会社員時代にはできなかった経験をしている機会が増えたとか。

でも本人は分かっています。これはかりそめのもので、実績や取引がなくなれば消滅するというかなり危ういところにいます。

それはさておき。スーさんが発見した、夢のかなえ方です。

夢を叶えようと丸腰で真正面から突進するよりも、得意なことを見つけて頭角を現せば、勝手に名が世に出て自動的に会いたい人に会え、やりたいことができ、夢が叶う。忘れちゃいけないのは、自分は何が得意なのかも、他者が勝手に決めるということ。好きなことと得意なことは、違ってていいのだ。

何の本かは忘れましたが、どこかのビジネス書でも同様の記述があった気がします。

とにかく自分の得意なフィールドで頭角を出せば、自分の名が売れ、いつの間にかやりたいことが実現しているという図らずも何とかなるという1番ラッキーなこと。

まあ、言われてみればそうかも。トーコもそんな感じで夢を叶えた気がする。10年前の自分に、何とかなったよ、って言ってあげたい。

ここでは詳しく紹介しませんが、ラブレター・フロム・ヘルもかなり話題になっているようです。熱い文章です。

 

■最後に

スーさんより年下は、人生の通り道の上での大先輩の言葉を知ることができます。あとがきでは、もっと現実が書かれています。

スーさんと同年代以上の方でもうなずけたり、同意したくなることがあると思います。やっぱり年を取るのは悪くないと思わせてくれます。

 

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