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【再生の物語】297.『雪のなまえ』著:村山由佳

投稿日:4月 25, 2021 更新日:

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こんばんわ、トーコです。

今日は、村山由佳の『雪のなまえ』です。

雪のなまえ

 

■あらすじ

雪乃は東京に住む小学5年生。しかし、無視されている友達に話しただけで、いじめにあい、学校に行けなくなっていた。

そんな中、父親が突然会社を辞め、曾祖父母の住む長野へ移住する。

 

■作品を読んで

もし、今いろいろな理由があって学校に行けなくなった子に1番薦めたいです。もちろん、ものすごく傷ついていますし、向き合いにくい部分もあると思います。

トーコも無視されて学校に行くのがいやになり卒業式間際の1週間ずーと家にいました。逃げずらいですが、逃げて正解だったと思います。

当時はやることがないので、これでもかというくらい新聞と本を読んでいました。発見したことはただ1つです。それはこの作品にも書いてありますので、そこでいいます。

とはいえ、かつて主人公と同じような体験をした方も無理に読まない方がいいかもしれません。つらい記憶がフラッシュバックしてもいやでしょう。

それだけ雪乃が都会の学校であったことが深く記憶に刻まれています。引っ越す前には学校に行くだけで過呼吸を起こすレベルになっていたのですから相当な設定です。

雪乃はあらすじにも書いた通り、友達をかばったおかげでいじめにあいます。いじめた側はたまたまの遊びなのかもしれませんが、いじめられた側はしんどいことです。さらに、親にもなかなか理解されず、雪乃は二重の苦しみを背負います。

そんな中、父親の航介は会社を辞め、航介の祖父母のいる長野にIターンし、農業をすることを選びます。

母親の英里子は反対です。彼女はしっかり者で編集の仕事を愛していますが、学歴がなく、それゆえ娘にもいい学校に行くことを望んでいます。しかも、雪乃はちょうど中学受験のため塾通いもしています。

突然の環境の変化はむしろ東京で編集の仕事を続けたい母親にとっては寝耳に水の出来事でもありました。

そのため、雪乃一家は父親と雪乃は曾祖父母の家に、母親は東京の家で生活することになりました。

とはいえ、いきなりやってきた孫一家は周囲から好奇の目で見続けられるのでした。特に寄り合いでの言われようはすごかったです。これさえなければIターン、Uターンは進みそうな気がするんですが…。

そんな父親と雪乃を助けたのは、近所に住む広志と息子の大輝でした。

まず、広志は航介に農作業を教えたり、納屋カフェを開くのに使われていない納屋を航介に提供します。

納屋カフェのオープンに向け、航介は少しずつモノを片付け始めます。その過程で雪乃や広志、大輝も手伝います。

そこでは農作業の合間でも立ち寄れるような程よいカフェのオープンを目指します。なんと偶然にもたまたま入ったカフェのウエイターがお菓子作るのが好きな人で、アレルギー対応のお菓子も作っています。彼女はやがて納屋カフェで働き、雪乃にコーヒーの淹れ方も教えます。

大輝は雪乃と同じ年で、彼は雪乃が学校にいけない事情を察しています。実は広志の妻にあたる人も無理がたたって、精神を壊しています。なので、普通の子よりは雪乃の抱えている事情を理解できるのかもしれません。

大輝は物語の終盤に雪乃の家に仲の良い友人を連れてきます。雪乃が学校に行けるようになるための彼なりのリハビリでもあります。雪乃は抵抗しますが、次第に豊、賢人、詩織と仲良くなります。

でも、大輝だけでなく多くの人が心配はしています。無理にとは言わないが、自発的に雪乃が学校に行けるようになることを。

雪乃も小学5年生にしてはなかなか立場をわきまえながら生きている子だな、と思います。というか、もっと子どもは子どもらしく生きれば楽なのにね、と読んでいる側が思ってしまうくらい。

ですが、最後にはこう気が付きます。

…、せめてこれ以上心配されずに済むように、あえて何でもなさそうにふるまってきた。

考えるとそれもこれも、全部自分のことばっかりだ。周りに申し訳ないと思うのだって、情けないと思うのだって、結局、自分、自分、自分。あらゆる考え方や感じ方の中心は自分でしかなくて、いつもひとりぼっちだと感じてきた気がする。

まあ、小学生でここに気が付けるのはなかなかです。流石小説。とはいえ、自分がどう感じるのかにもきちんと向き合い続けないと根本的な解決はしないけど。

そして、はたと気が付きます。今の自分の状態を肯定してくれる周囲の人たちの視線がたくさんあったこと。これらに気が付いた雪乃はいつの間にやら大泣きしています。

この出来事から雪乃はさらに次のように気が付きます。

今の自分が好きになれないからと言って、ただぐずぐず悩んでいては何ひとつ変わらない。ずっとこの場所で立ちつくしているのが嫌なら、少しずつでも努力して、自分が変わっていくしかないんだ、と。

この1文がトーコが小学生の卒業式間際にプチ引きこもりになったときに発見したことです。他人に期待するな、自分が変わってしまえ、と。

ぐずぐず悩んでいるだけでは全く変わりません、というか他人にそんなことを期待しても無駄。

トーコの思考も未だにこれです。仕事でも周囲には一切期待していません。期待値低いです、マジで。

物語の最後で、雪乃は大輝に言われます。もう雪乃を知らない子の方が少なくなったことを。

雪乃は2学期の最初の日に詩織に始業式に一緒に行こうと言えるようになりました。雪乃は学校にも行けるようになります。

 

■最後に

1人の小学生の女の子の再生の物語です。おそらく、現代社会には彼女と同じようないじめを受けたりしている方もいるかもしれません。

逃げるのは決して悪いことではないです。自分を落ち着いて見つめられるようになってからどうするかを考えるのも悪くはないんですよ。

そんなことを教えてくれる1冊です。

 

 

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