こんばんわ、トーコです。
■あらすじ
ぼくの魂は運よく(?)再チャレンジに当選してしまい、自殺を図った少年の体にホームステイすることになった。
その少年の名は小林真といい、しばらくの間小林真として生き、家族のこと、学校のことに向き合う羽目になる。
そのおかげか、少しずつ人生に対し気づきが出てくる。
■作品を読んで
初めて読んだときが約10年前だと思います。物語の結末はよく覚えていました。
結末はネタばれになってしまうので言えませんが…。
読み終わった後すごくすっとして、元気が出たことはよく覚えています。
はて、物語の中盤でこんな場面がありました。
きれいなものがほしいし、見たい。けれどその一方でこれを壊したくなる、残酷なまでに。
でも主人公のぼくがいう。みんな頭おかしくて、狂っている。
この世があまりにもカラフルだから、ぼくらは迷うんだ。
この年代の子たちって危ういよ、でも、わかるよ、と10年前高校生だった当時は思ったような気がします。
でもよく考えると、人ってどんな年齢になっても今あるものをあえて壊したくなる瞬間があると思います。
特に順調に動いているときほどそう思います。トーコの謎の経験からの感想ですけど。
だからよく考えずに仕事をやめたり、人を傷つけたり、最悪犯罪を犯したり…、実際にこういう人がいるかもしれません。
多くの人は、個人の感情で壊すだなんてたまったものではない、と思うかもしれません。
でも現実にはそんな場面がたくさんあって、実行している方もいます。
じぶんの色がわからなくなるときだってあります。
私たちはそんな危うい感覚を心に秘めながら、それを出さぬよう必死にかくして生きているんだなと思ってしまいます。
それは、幽霊になり小林真として生きていく中で、幽霊を通して私たちに多くの気づきをもたらします。
この作品のターゲット層はおそらく中高生ですが、正直に言えば大人になってから読んでも得られるものはたくさんあります。
「ぼく」はどんどん人生にきちんと向かい合おうとします。それは、読者も一緒です。
それにしても、物語の最後でびっくりしますよ。きっと読み終わった後、話のオチはそこか、とツッコミたくなるでしょう。
■最後に
私たちは「ぼく」の言葉を借りれば、極彩色の渦の中で生きています。
私たちも帰る場所があって、この世界をしぶとく生きていきます。
生きていくのは困難が多いですが、悪くないなと思わせてくれる本です。