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【作家の読んだ本】272.「物語の海を泳いで」著:角田光代

投稿日:12月 29, 2020 更新日:

こんばんわ、トーコです。

今日は、角田光代の「物語の海を泳いで」です。

物語の海を泳いで

 

■あらすじ

小説を書く人の選ぶ本って一体どんな本なんだろう。

ここには、新聞や雑誌で掲載された著者による書評や思い出が収められています。

 

■作品を読んで

作家による書評集が主にまとめられている作品です。また、本についての話も収録されています。

なんというか、角田さんの読書愛が伝わってきます。

この人もご多分にもれず、家中に本があるようです。作品の中のエッセイでも詳細を書いています。

しかも、寝室だけでなく、台所や洗面台、トイレ、風呂場にもあるのだとか。

台所は主にレシピ本。これを読んで、トーコの場合は台所の隣の玄関にレシピ本を置きました。

レシピ本を台所の椅子の上に置いていたのですが、椅子はテレワークの時に使うためいちいちどかすのが面倒になったので、「あ、こりゃいい。」と取り入れました(パクリました?)。

現在、我が家の玄関にはレシピ本と手袋、マスクが共存しています。

洗面台はなんと夫婦ともにおいているのだとか。2人とも風呂場でも本を読むからなのだそう。

誰か、トーコに風呂場での本の読み方を教えてください。トーコは視力が悪すぎるのと、本が濡れるのが怖いのでできないです。

トイレにも本があるようで、トイレは滞在時間が短いから章立ての短いエッセイを置いているのだとか。

恐れ入ります。ここまでくると筋金入りだわ…。トイレにはさすがのトーコもおいてないです。

というか、旦那さんも本が好きじゃないとたぶん一緒に生活できない気がする。まあ、旦那さんも薦められた本を読んでいたりしているようなので読者はそこまで心配しなくてもいいようです。

それにしても、ここまで本が家の至るところにちりばめられている家では、本が嫌いなら無理だと思う。住めないし、結婚相手としては絶対に失敗…。

このように、角田さんの家はまとまった場所に置いてはいないです。読み方もその時の気分によって本を変えているのだとか。

理由の一つとして、読むか、という時に手の届くところに本があってほしいそうです。エッセイの最後の文章を引用します。

まことに雑多な本置き場で、雑ぱくな読みかただが、数え切れないくらいの本に助けられて生きてきたなあと、ふとしみじみ思ったりする。

そうだ、そうだ、と共感します。どんな読み方をしてもいい。でも、本に助けられて生きてきたのは、トーコも然り。ひょっとすると読者の方も本に救われたり、助けられて生きてきたことでしょう。

その次のエッセイにもはっとします。旅と本についてのエッセイです。

旅先で本を探していたこと、それがその時の旅を思い出させる思い出になったようです。

また、こうも書いています。

旅ともっとも相性のいい本は、その地について書かれたものだ。…略

自身も旅するよそ者として、その場所の空気を吸いながら、文字で描かれた光景を味わうことで、旅の感触も、書物が連れていく場所も、一種独特なものになる。旅の記憶見、体験と読書がごっちゃになる。

…略。そして旅から何年もたってその本を開くと、あまりの生々しいなつかしさにたじろぐことになる。そこに書かれた光景も正確には知らないし、そこに書かれた経験もしていないのに。

…略。旅する場所と持参した本は、ときどき思いがけない化学反応を起こして、そのまま心に刻まれる。

だいぶ長いのですが、うまく抜粋できないので、こうなりました。すいません。

トーコの場合は、旅先で旅先の本は読まない人間ではあるのですが。例えばニューヨークに行ったらニューヨークの本は読まないのですが。

ただ、その時読んでいた本が場所で読んだかは鮮明に思い出せます。

モロッコに行ったときに、パウロ・コエーリョの「星の巡礼」も移動中の電車の中で読んでいました。この時は、旅の最中だったせいか、無性に巡礼の旅に出かけたくなりました。

66.「古都」著:川端康成は、ポルトガルのリスボンからポルトという街を移動する電車の中で読んでました。電車の中が1番よく読んでるわ…。

電車の車掌から切符を出せと言われて出したら、「この切符は違う」的なことを言われ、「と言われてもねえ…」とトーコも困惑しているときに、

席の向かいの女の人が「何があったの?」と聞かれ、「切符が違うらしい。困ったもんです」的な会話をした記憶がよみがえります。

幸い切符は本物扱いになり、ほっとしていたので、気になっていることを席の向かいの女の人に聞きました。

「何を編んでるの?」、女の人は「姪っ子の靴下よ」と答えてくれました。喜んでくれるといいが。ちょうど読んでいた本が川端康成の「古都」。

去年の今頃の帰省には、208.「彼女たちの場合は」著:江國香織。なんだか、電車で旅している最中に読んでいたせいか、余計に感情移入ができました。

本はその時の風景を運んでるんだな、とのんきに感心します。なんか、トーコの話は著者が意図していることとずれているような気がして仕方ないけど。

ほかにも、様々な本の書評が収録されています。トーコもすでに読んだ本も含まれていますし、こんな本があるんだ、という本もあります。

そういう意味では新たな発見があります。でも、この人の読書はちょっと近いものを感じます。うれしいや。

 

■最後に

著者の読書スタイルや読んできた本の話が色々と詰まっています。

様々な本の書評から次に読みたい本が見つかるかもしれません。作家の本を違う角度からのぞける本です。

 

 

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