こんばんわ、トーコです。
今日は、瀧本哲史の「君に友だちはいらない」です。
■あらすじ
グローバル資本主義の進展によって、これまで日本のお家芸だった、「いいものを大量に安く作って販売する」というモデルが急速に破壊されている。
こうなってくると、商品だけでなく、労働力を売って生活する人間もコモディティ化の波に巻き込まれてしまいます。
そんな中で、これからの時代を生き抜くための仲間づくりの意義を説きます。
■作品を読んで
この本を手に取った理由は、著者が2019年8月に亡くなったことです。
著作自体も聞いたことあるし(この作品も然り)、タイトルもなかなか人の記憶に残るなあと思っていましたが、著者が亡くなってしまえばこれ以上読むことができません。
そんなきっかけで読んでみることにしました。
読んでみて思ったことは、この作品が出版されたのは2013年で、当時リンダ・グラットン教授の「ワーク・シフト」を読んでかなり衝撃を受けましたが、同時期にこの作品が日本から出版されていたのにも驚きました。
タイトルもなかなか安物のビジネス書感がありますが、この本はちゃんと中身が詰まっています。
ビジネス書って出版されてから鮮度がキープできる期間ってそんなに長くはないかな、とトーコ個人は思っています。
が、この本はビジネス書特有の色褪せ感はありません。
むしろ、出版当時この本で主張していることについては、やっと時代が追い付いたといってもおかしくないくらいです。
多分、出版当時は著者の方が時代の先を見ていたような気がします。
というのも、この方東京大学の法学部卒業で、たいそう優秀だったから学士卒業と当時に研究助手になって、それからマッキンゼーに就職したとか。
ちなみに卒業時の選択肢が研究助手かマッキンゼーだったらしく、著者の卒業当時は友人たちに「そりゃ研究助手だろう。だいたいマッキンゼーってなんだ」という世界だったとか。
今じゃ、官僚よりもマッキンゼーなので、本当に先を見てたんじゃないか。
いわゆるこれが本当の天才です。恐れ入りまする。
さて、この本ですが結論は至極シンプルです。
SNSで「いいね」を押す友だちは要らない。志を共有する小さなチームを創れ。
この一言に尽きます。
本書は、仲間づくりの意義、必要性、どうすればいいのか等々を突き詰めて論じています。
この本を読むと何となくですが、黒澤明の「七人の侍」について知ることができます。
というのも、表紙の古い映画のフィルムの正体がわかります。そして、それが1つのきっかけになって理論が展開されます。
本当に誰かのインタビューでもありましたが、お題目と顔ぶれだけが見事にそろったプロジェクトがうまくいくはずがないと言ってましたが、そこに熱量というか志がなければうまくはいかないもの。
それに似たようなことをおっしゃっています。志を共有できるか、目的に向かって一緒に歩めるかが鍵です。
また、この作品の凄いところは仲間づくりの方法も伝授しているところでしょうか。
どうやって出会うか、ちゃんとなぜお目当ての人と仕事がしたいか。
極めつけは、ひとりの失敗が即全員の失敗につながるという意識でしょうか。
トーコの会社その意識が希薄なので、なんかしら事件が起こるんだよな。
緊張感を持って業務にあたっているかも重要かもしれません。
それにしても、各章のまとめとして大きなフォントで書かれているページでうまくまとめられているので、これだけでもうまくポイントがつかめますよ。
とはいえ、ちゃんと中身を読んでほしいですけどね。
■最後に
なかなかキャッチーなタイトルではありますが、出版されてから年月が経っているのに色褪せ感ゼロのビジネス書です。
今の時代に本当に必要ですし、迷いません。
なかなかに時代の先を行った本です。