こんばんわ、トーコです。
今日は、安藤広大の『リーダーの仮面』です。
■あらすじ
日本の場合、優秀なプレイヤーが昇格してリーダーになるケースが多いですが、優秀なプレイヤー=優秀なリーダーになるとは限りません。
そんな迷えるリーダーに5つのポイントを伝授します。
2021年に最も売れたリーダーシップの本です。
■作品を読んで
この作品は、ちょうど前の会社でリーダーまがいなことをやる羽目になった時期に、一体どうすればいいのだろうかと迷った末に手に取りました。4ヶ月近くそのポジションを仰せつかっておりましたが、一向に手ごたえがなかったので、どうすればいいのか途方に暮れていた時のことです。
ちょうど迷っていた時に手に取ったせいか、非常に目からうろこだらけでスゲー、スゲー、この情報欲しかったわ、と思った記憶があります。
2022年6月現在、本屋さんにはこの作品と『数値化の鬼』という赤い表紙の作品が並び置かれていることが多いと思います。『数値化の鬼』はまだ読んでいないのですが、これもいつか読もうかと思います。積読増える…。
それでは、作品に行きましょう。
まず、「はじめに」でかなり痛いことを言われます。
プレイヤーとしての能力は、30代をピークに、年をとるごとに落ちていきます。
(…略。)
早く「手足」の機能を経て、「神経」の機能に上がっておかないと年をとってから大変なことになります。
リーダーとしてのスキル、つまりマネジメント能力がないと、「代替可能な存在」になる可能性も高いです。
出世しないと逆にツラくなっていく現実に目を向けるべきです。
おお、その通り過ぎてぐうの音も出ません。日本の雇用慣行上、年をとれば年収が上がります。けど、上がるための条件は出世をすることです。
出世を拒否ることは手足のまま過ごさないといけません。だから、最悪手足のなかの最上位にいられればいいのですが、技術職であればそういう序列はありますが、少なくとも事務職の場合は最悪手足のままで終わる可能性が大な気がします。
とはいえ、自分の性格上、リーダーやマネジメントに向いてないよ…、と嘆きたい人も多いと思います。
しかし、著者は言います。考え方を身に着けて、頭を切り替えるだけで良いと。
まず、リーダーがフォーカスすべきポイントは、「ルール」「位置」「利益」「結果」「成長」です。
仮にリーダーとしてどう振舞えばいいのか迷うこともありますが、その時は上記の5つのポイントだけを見て他のことを考えないようにします。作品のなかでは「仮面をかぶる」と表現しています。
この「仮面をかぶる」という表現に置き換えられると、途端に人はこうすればいいんだ、と目から鱗が落ちてきます。
それから、5つのポイントについての解説が始まります。
ポイント1「ルール」
→場の空気ではなく、言語化されたルールをつくる
ポイント2「位置」
→対等ではなく、上下の立場からコミュニケーションする
ポイント3「利益」
→人間的な魅力ではなく、利益の有無で人を動かす
ポイント4「結果」
→プロセスを評価するのではなく、結果だけを見る
ポイント5「成長」
→目の前の成果ではなく、未来の成長を選ぶ
なんだか冷酷非道に聞こえる人もいるかもしれないですが、そもそも会社は友達をつくるところでも孤独を埋めることでもないです。
というか、成果が出るから結果的に雰囲気がよくなるのであって、決して職場の雰囲気を良くしようとしてはいけないのです。
いい人になる必要もないし、なんならむしろ平等を保ってください。部下が辞めるかどうかを気にしない。そもそも会社が成長して、自分の成長を実感していれば辞めることはありませんしね。
ここからは、5つのポイントごとに1つの章で解説しています。
「ルール」の場合、リーダーがやらなければならないことは、「ルールを作り、それを守らせる」です。実にシンプルですが、これに徹することができない…。
感情的になるのではなく、無機質なくらいがちょうどいいようです。というか、これは部下の目線から言うと、上司の顔を伺わなくてよくなり、かえってのびのびとできるというものでした。
「位置」ですが、まず立場が上にいけばいくほど、見える範囲が広がります。そして、高い位置にいる人は、未来を見据えて決断し、行動する責任を負います。
ここで、「仮面をかぶって」位置を意識し、「今の利益」を脇においておけば、「未来の利益」を選び取るようになるでしょう。
さらに、指示する時はお願い事ではなく、言いきり口調にすること、部下が目標未達の時のロールプレイングも記載されています。あくまでも、未達で次にどんなアクションをするかが大事です。これはなかなかできる人少ないですよ…。
「利益」ですが、ここではモチベーションに頼るのではなく、全員を「組織の利益」に向かわせるための仕組みを見ていきます。
また、部下からの報告を聞く時は、事実のみを拾うように心がけるべきともいいます。「詰める」という行動は実際怖いですが、事実を淡々と確認することで現状を変えたくないパターンに対応しますし、常に一定のテンションを保つこともリーダーには求められます。
「結果」ですが、そもそも「仕事ができる人」というのは、「評価者たちが求める成果を出す人」のことを言います。
とはいえ、評価している人もちゃんと相手の結果をきちんと見なければいけないのですが。これができていない上長のもと結果を出せているのであれば、転職をお勧めします。
あくまで、仕事は他者評価ベースでとらえないとダメなものです。
さらに、上司は点と点で目標管理をすることを説きます。部下の目標と結果を報告し、上司は「期限」と「状態」を提示します。
これがテレワーク時代にはもってこいなのでしょうね。事実、著者が運営する「識学」には問い合わせが増えているのだとか。
個人的には、部下、課長、部長のすべてが参加する会議は禁止はすごくいいなと思いました。
言われてみれば、この3層がすべて出た会議なんて、レベルを合わせてしまえば、しょせん報告会で終わりますからね…。はっきり言って無駄。
そして360度評価についても一刀両断します。全員とは言い切れませんが、好き嫌いでしか上司を判断しない部下が現れてもおかしくはないですからね。
「成長」ですが、チーム内で健全な競争が起こりはじめたら、あくまでリーダーは管理することがメインの業務になります。トップを走るのではないのです。
個人の能力は30代をピークに落ちていきます。能力の限界を見たら、マネジメントに比重を置くことが求められます。
部下の成長のためには、まずはやらせてみるのが手っ取り早い。まあ、ここまでの理論は実は部下の成長のためという斬新なオチ。
最後に、371.『転職の思考法』でも述べましたが、ぜひまとめサイトを読むだけでなく、買う、図書館で借りる等で作品を読んでください。
著者の言い方やニュアンスは実際に読まないとわからないと思いますので。
とはいえ、この作品は、部下を育てるために必要となるマネジメントの紹介でした。組織において、次の世代を育てられるかが1番の肝かもしれないですね。
■最後に
リーダーになったら手に取る本No.1です。ここには、どうすればいいのか、どう振舞い、考えるかのヒントがたくさん詰まっています。
しかも、ポイントがかなりシンプルなので、行動に移しやすいです。