こんにちは、トーコです。
今日は、伊坂幸太郎の『オーデュボンの祈り』です。
■あらすじ
コンビニ強盗に失敗した伊藤は、見知らぬ男に連れられて江戸時代より外部との交流を絶っている「萩島」にやってきた。
そこには不思議な住民がいた。嘘ばかり言う男、なぜか殺人を許された男、未来の見えるカカシ。
しかし、伊藤が来た次の日にカカシが殺される。
どうして、カカシは自分が殺される未来が見えなかったのだろう。
■作品を読んで
久しぶりに伊坂作品を読んだが、なんか荒いなあ、と思ったらこれがデビュー作だったそう。
はっきり言ってそれでもすごいです。
最初の数ページ読んだだけだと、「?」となって何がなんだかよくわからない世界に連れていかれます。はっきり言って超シュールです。
なんですごいか。登場人物同士の何気ない会話や動作が、さらにはどこかからの引用やらが事件の解決のための重大ヒントになっていて、最後にはすべてつながるからです。
本当に無駄がない。きちんとラストにつながっている。
あー、こいつかと思う頃には、まあ犯人とのやり取りになっているのです。
トーコはミステリーを読まない方なので、イメージで述べさせていただきますが、この本は従来のミステリーの概念を結構覆していると思います。
なんというか、新感覚です。
一番面白かった文章はこれです。
名探偵は、いつも事件が起きるのを防ぐためではなく、解き明かすために存在している。結果的には誰も救わない。はたしてそれでいいのか。
ミステリーがこれを言うんだ、と思いました。
その通りだけど、従来の探偵ものってこの命題を前提にやっています。
某コナンなんて毎週よくもまああなたの身のまわりで事件が起こりますね、と突っ込みたくなるくらい。こいつがいるからいつも事件が起こるし、というか物語が成立しなくなるかと思うのです。
あ、誤解のないように言いますが、某コナンが面白くないとかネガティブキャンペーンをするつもりではありません。
この作品は、「誰かを救う」方が読み解くカギになっているんだと思います。
だから、この作品は従来の探偵ものにありがちな命題を否定できるのです。
それゆえ、ミステリーというよりファンタジーでシュールな作品ができたのだと思います。
■最後に
従来のミステリーとは違う、超シュールな作品です。
物語の随所に解決のヒントがちりばめられています。
すごく物語の世界にぐいぐい引き込まれる作品です。