こんにちは、トーコです。
今日は郷原信郎の「思考停止社会」です。
■あらすじ
水戸黄門という時代劇で黄門さまは庶民の話を聞いたり、悪党の情報を探ったりして8時45分ごろに印籠を出して悪党を成敗します。それから大円団となり、エンディングを迎えます。
でも、黄門さまが8時5分に悪党たちの会合の場に現れてすぐに印籠を出されたらどうでしょう。反論する間を与えずに次のストーリーが展開されてしまいます。
これと似たようなことが社会全体にも言えるのではないかと著者は警鐘を鳴らします。
「法令順守」という絶対的な印籠のもと、違反したという事実のみが1人歩きし、本当に探らないといけない原因や背景等がおざなりになっているのです。
この本では一時世間をにぎわせた問題を様々な事実をもとになぜ思考停止になってしまったのか、本当の解決は何かを考えていきます。
■作品を読んで
最近は法令だけでなく、倫理的な面でも騒がれているような気がします。著名人の不倫とか不倫とか。
なんだかこれらも「8時5分の印籠」のような気がしますが。
2009年に出された本なので不二家、耐震偽装問題、ライブドア事件、年金問題など、事例がすごく懐かしいです。
どの事件も背景や原因を見ずに変に決めつけた原因に基づいて事実を報道された感があるようにも思います。
特に不二家は企業としても存続ができなくなり、山崎製パンに買収されましたし、社会保険庁も日本年金機構に変わったりと混乱も招いた面も否定はできません。
耐震偽装事件も計算書が偽装されたとのことですが、業界では基準と実態が乖離していてそれを加味した基準の改正がなされていないとのことでした。
事実をきちんと見ればそこまで騒ぐほどの問題なのかと言いたくなります。
大切なのは、問題の状況、問題に至った経緯、原因を正確に認識し、価値観を共有することです。(本文P209より引用)
それは法令を遵守するという意味だけでなく、私たちの日常にある様々な問題についてもいえるのだと思います。
■最後に
法令遵守とは何ぞやを学ぶために読んだ本ですが、なんだか日常の問題にもつながってくるものを得ることができました。
最近の世の中絶対にやってはダメだというところに終始し、そのほかの部分に目を向けられていないように思います。
ぜひともそうなりたくないなと思うのでした。