こんばんわ、トーコです。
今日は村上春樹の『村上ラヂオ3 サラダ好きのライオン』です。
■あらすじ
このエッセイは、雑誌「anan」に連載されていたエッセイをまとめて収録したものです。
村上春樹の頭の中が少し垣間見え、その中はとてもユーモアにあふれています。
雑誌のエッセイにしてはかなり高いクオリティです。
■作品を読んで
雑誌の連載だっただけあって結構短く、とても読みやすいです。
村上春樹って一体どんな人なのとか、なんであんなに世界中でウケる本を書けるんだろう、という著者のイメージ的な疑問も解決できそうです。
というのも、けっこうユーモアあふれる発明がすごい。
例えば「新宿駅装置」。何かというと、新宿駅に行って構内アナウンスを録音して、そのテープを電話のそばに置いておく。
しつこい電話がかかってくるときにラジカセのスイッチを入れて、録音した駅のアナウンスが流れ、さりげなく「今新宿駅で、すぐに電車に乗らなくちゃならないんです。切ります。ごめんなさい。」と言って電話を切る。
電話かける方もびっくりです。家にかけているはずなのになぜ駅のアナウンスが聞こえるんだ?と首をかしげることでしょう。
著者いわく、これ結構効果があるみたいです。
なんせ、驚いている最中に「電車に乗るんで、切ります」と言われるのです。頭が混乱している間に通話終了。
ユーモアありますが、それ以前に実用性に優れすぎです。
また、「2番じゃだめなのか?」というエッセイでは、某女性議員がスーパーコンピューターの予算が莫大なので削減するためにに「2番じゃダメなんですか?」と質問したという話から考えたことをまとめている。
著者が思うに、2番手でいるというのは実は難しい。
そもそも2番手ってその順位を取りたくてそこにいる場合ばかりではないと思います。
たいてい1番になれなくてそこにいるんだと思うのです。これで2番でいいなんて言った暁には、守り一辺倒になり、いつの間にか3番手、4番手になる可能性だってあります。
また、向かい風に立ち向かうこともあるかもしれません。そんな時は2番じゃダメなんですか、という質問に答えている暇はありません。
なんというか、これはトーコの抱いていたイメージですが、村上春樹ってこんなことを考えているんですね。なんか向かい風だろうと何だろうと涼しい顔しているイメージがあるので、かなり意外だなと思いました。
でも、2番手でいるって本当に難しいことです。トーコもそう思います。
著者がそう思っているのは本当に意外ですが、激しく同意です。
■最後に
このエッセイは本当にクオリティが高いです。村上春樹の頭の中が少しわかりそうな気がしました。
短く、とても読みやすい本です。村上春樹の入門編として、非常におすすめです。