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【やるせなさ】222.『外は夏』著:キム・エラン

投稿日:3月 16, 2020 更新日:

こんばんわ、トーコです。

今日は、キム・エランの『外は夏』です。

外は夏 (となりの国のものがたり3)

 

■あらすじ

息子を事故で亡くしてから悲しみに打ちひしがれる家族、ずっと一緒にいた恋人にいつの間にか愛想を尽かせていり、夫を失った悲しみから立ち直るきっかけを探したり。

「喪失」をテーマに、寄る辺なく、人生の切なさややるせなさを切々とつづる短編集です。

 

■作品を読んで

ただただ、タイトルに惹かれて買いました。韓国文学だということを知ったのは、買った後。

しかも、韓国文学が地味ーに流行っている(多分、「82年生まれ、キム・ジヨン」が流行ったからのような気がする)中買ってしまったので、なんかブームに乗ったかのような気がして正直微妙な気分です。

ブームに便乗がそんなに好きではないので、なんだかなと思っています。

 

さて、戻りましょう。

この短編集の中で1番印象に残っているのが、長年一緒に暮らし好きだと思っていた男がいつのまにか好きではなくなり、別れを考えている女の話です。

女は警察庁に所属し、交通情報を伝えるアナウンサーで、男は公務員試験に失敗し、不動産コンサルティング会社に勤めています。

2人はともに同じ場所で公務員試験の勉強をしていました。

もちろんですが、韓国の公務員試験は日本よりも凄まじいです。大学と一緒で。

2人は出会ってから、8年が経過していました。そのうち何年かは一緒に暮らしていました。

だが、男はやはり公務員になることをあきらめずにいて、女に内緒で試験勉強を行っていました。

男の変化を知ってか知らずか、女も男に対する愛情というか何かが消えてしまいました。

そうして女はクリスマスの日に男に別れを告げました。

翌日、女はいつも通り交通情報を読み上げていました。

だが、2人が出会った場所の地名を偶然にも読んだとき、女の中で時が止まりました。

この場所にはたくさんの思い出があります。出会った時だけではなく、ともに勉強をしていたころの女の言う「何か」があったころの記憶が走馬灯のようにこみ上げてきました。

そんなつかの間の一瞬があったけれども、女はいつものように交通情報を伝えるのでした。

この思い出がこみ上げてきて一瞬の時が止まりそうになるシーンを読んでいたら、松任谷由実の「リフレインが叫んでる」が出てきました。

確かですが、昔この曲をもとにした短い映画があって、最後のシーン(これも別れで、しかも元恋人が事故で亡くなった)で女が河原の土手にいて、桜が散っているシーンが出てきました。

やっぱりですけど、短編に出てくるこの女も男との別れを過去のものにしてますね。

過去のものにするための一瞬の時が止まったのですからね。

でも読んでいる方は切なくなってしまいますね。長くいても決して分かり合えないこと、冷めてしまうことが多々あること。

というか、「リフレインが叫んでる」と限りなく状況が近いですね。偶然ですけど。

著者は手に入れられなかった時間に思いを馳せるようになった、述べています。

あとがきには、

私たちは著者を通して手に入れられない時間を見て、感じることができます。

 

■最後に

他にも様々な短編集があります。基本的には、大切な誰かとともにするはずだった時間を失ったり、奪われた人々が描かれています。

そこには、悲しみの中で途方に暮れている人も多々いますが、かすかな希望がにじみ出ている作品です。

 

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