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【この作家にこの書斎あり!】492.『センセイの書斎』著:内澤旬子

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こんにちは。鈴木Booksの店主です。

今回は、内澤旬子『センセイの書斎』です。

■本文

この作品は、ある著名な方の書斎を取材したルポです。

何がすごいって、その方の書斎を1つ1つ丁寧なイラストとともに示されています。

どうやら、7年間の取材の結果をまとめたのが、この作品。31の書斎を訪ねたようです。

31人の顔ぶれもそうそうで、個人的には、米原万里や石井桃子、上野千鶴子がいるのにも驚いたし、金田一春彦に至っては、なんと父親の書籍も含めて寄贈されている山梨県の八ヶ岳大泉図書館(今は名前が変わっています)に取材も出かけています。

さらには、古本屋や新刊書店といった場所にもアクセスしています。

ただ、残念なことは書肆アクセスという店は今はもうありませんが…。

31人がそろえば、31人の色があります。

当然ですが、本棚に整然と並べるのが書斎という方ばかりではありません。

1番びっくりしたのは、放浪しながら原稿を書くという作家さん、とは言え、最初はボストンバッグ2つに辞書や下着などの必要なものを入れてのスタートのはずが、いつの間にやら鍋や執筆に必要な文献を送られ…。

いつの間にか自宅から別の執筆部屋と化しているという方もいます。

もともと、センセイたちはどんな風にして情報整理しているのだろう?というのがスタートの連載です。著者にとっても、いろいろとためになることが多かったのでは?と思いますし、読み手もとても楽しめます。

個人的にすごいなと思ったのは、上野千鶴子の書斎(研究室)。

本の保管も、著者名のあいうえお順で、著者名さえわかれば検索できるというもの。

これは図書館などでは当たり前かもしれませんが、1研究室でここまでやるとは…というレベルです。

さらにいうと、女性学の研究は意外とミニコミ誌も使えたりするので、それもきちんとわかるようにファイリングして整理というもの。

1度ルールを作ってしまえば、後は引き継げるとはいえ、「猫の手バイト」と称して学生さんにもきちんとバイト料を払ったうえで整理してもらうという学生さんも一石二鳥な仕組み。

学生さんも勉強用の資料を借りつつ、情報整理術も学べるので、一石二鳥ということ。

上野センセイは今どんな書斎になっているのでしょうか…。おそらく、大学に籍はないはずですので。

今は亡き方の書斎をみれるというのも魅力が高い。

例えば、米原万里。この方の書斎は、通訳としての資料が中心だが、意外や意外、どんどんたまっていくのは辞書なのだそう。

書斎のイラストを見て、「あ、この仕切り方いいな」と思いつつも、うちにはこたつと出店用の本があるから実現できそうにもない…ということに気づく。

そして、整理術も驚く…。ファイルごとにカテゴライズし、すぐに取り出せるようにされているとか。とてもシンプルにクリアファイルを使用しての整理術。

ということは、「これ」と決めた内容でファイルに投げ込んでいくという方法。うん、実にシンプルで羨ましい方法です。

ちなみに、2000年の初頭では出始めのパソコンも使い、何なら電子辞書のソフトも買って試していたとか。

ただ、米原さん曰く「CDーROMやインターネットだけだとやっぱり視野が狭くなるんですよ。自分の選んだ項目しか出てこないでしょ、電子メディアは。ところが紙の媒体だと、全然読むつもりのないものがついでにパッと目に入ってくる。ところ、目的に向かいつつ、途中でまだ私が把握してない魅力的な世界に遭遇できる。だから、両方必要なんですね。」

このセリフは、今も変わらずです。アナログの強さはあるんですよね、この偶然の出会いとか。

意識化できる方ばかりではないので、定期的にこういった内容の話に触れたいところです。

何なら、この書斎を作った当時の設計図(遡ること11年前)のものも出て来たそう。驚きます…。

最後は、金田一春彦さんの書斎。

父上(国語学者・金田一京助氏)の蔵書会わせて2万冊は、山梨県の八ヶ岳大泉図書館にすべて寄贈したということ。

その蔵書の行方を追いかけて、大泉村へ。なんとこの村には図書館オープンまで図書館はなく、30キロ離れた隣り町へ行くか、6キロ先の新刊書店しかなかったという村。

そんな場所で、別荘があったという縁で金田一家の書籍を引き取ったとのこと。

この図書館では、金田一春彦氏の書斎を再現した形で、蔵書のうち8000冊が開架として書棚に並べられている。

言語学だけでなく様々な書籍が並べられているのがすごいところ。

研究に必要なときは、金田一先生から書籍を指定されて送るそうですが、それもかなり正確で間違えずに指定されるのだとか。

そりゃ、誰もが脱帽ですわね…。

 

■最後に

それぞれのセンセイによって、整理術はちがいますが、とても参考になります。

また、個人的には『プラハの古書店』というエッセイが気になった千野栄一センセイってそもそもこういう人だったんだ、と思ったのが新鮮でした。

イラストも素敵でとても面白く、発見のある作品です。もうすぐ文庫は絶版になりそうなので、みなさまお急ぎください。

 

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